北海道の昆布しょうゆ、愛知の豆みそなど、その地域独自の味を作る基本調味料が日本の各地にある。しかし昨今、好みの多様化から地元の基本調味料を使う人が減少し、地域差が薄れる傾向にあることが日本能率協会総合研究所の調査でわかった。
調査は「味嗜好編」と「料理編」の2種類行われた。
全国10地域の30~40代の主婦2708人を対象とした「料理編」では、よく使う基本調味料について質問した。97年の調査からみると、全国的に地域独自の味を作る基本調味料の使用が減少している結果となった。愛知の「豆みそ」は97~09年では7割をキープしていたが、09~18年では5割を切った。阪神圏の「淡口しょうゆ」は97~18年で7割半から4割台に減少。福岡の「麦みそ」は97年の5割弱から1割半まで減少した。
「味嗜好編」の調査は全国10地域の20~70代の男女3095人を対象に行われた。好きな料理のジャンルの問いでは、「和風の家庭料理」と答えた人が8割半で、地域差はほとんどみられなかった。一方で「店で食べる手軽な洋食」「ファミリーレストランの料理」「ファストフード店の料理」を好きな人が、05年の調査時から10ポイント以上増加。特に北海道、北陸・新潟、四国、九州で増加が目立っていた。
好きなメニューの質問には「にぎり寿司」と答えた人がどの地域でも7~8割で、10地域中9地域で1位だった。「刺身」も人気が高く、関西で1位だったほか、首都圏など5地域で2位、そのほかの地域でも上位を占めた。「ラーメン」は、北海道、東北、北関東・甲信では上位で4人に3人以上の人が好きと回答したが、関西、四国、九州では10位圏外。関西、中国、四国では「お好み焼き」を3人に2人が好きと回答しており、地域差が見られた。
好きな麺類でも地域の特色が見られた。ラーメンの好きな味1位は、北海道では「みそ味」、九州は「とんこつ」で、そのほかの地域は「しょうゆ味」。ラーメン以外の麺類で人気1位は、北海道、北陸・新潟、北関東・甲信、首都圏が「冷たいそば」、東北は「温かいそば・関東風かけ汁」だった。一方、西日本は「うどん」が人気で、関西、中国、四国、九州で「温かいうどん・関西風かけ汁」が1位となった。東海は「みそ煮込みうどん」だった。