投打二刀流に挑む高校球界の「大谷」が、オンリーワンの存在を目指して春の聖地に乗り込む。

 第90回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が26日、大阪市内で行われ、出場36校が決定した。春夏通じて初の甲子園出場を決めた中央学院(千葉)は、エース兼4番の大谷拓海投手(2年)が150キロ&本塁打を誓った。組み合わせ抽選会は3月16日に行われる。

センバツ出場が決まり、エースで主砲の大谷を胴上げする中央学院の選手(撮影・野上伸悟)
センバツ出場が決まり、エースで主砲の大谷を胴上げする中央学院の選手(撮影・野上伸悟)

最速145キロ、エースで4番

 投げては最速145キロで高校通算23本塁打。右投げ左打ちのエース兼4番の二刀流で、名前は大谷。球界の流れにマックスで乗っている存在だが…。

 「ピッチャーはダルビッシュ選手を目標にしてます。バッターは(ソフトバンク)柳田選手です」

センバツでの目標に「自分のプレーをすること」を掲げた中央学院・大谷(撮影・野上伸悟)
センバツでの目標に「自分のプレーをすること」を掲げた中央学院・大谷(撮影・野上伸悟)

 周囲の期待を知ってか知らずか、大谷はそう簡単に「大谷」とは口にしない。ダルビッシュや柳田のフォームはユーチューブなどで研究を続けるが、大谷の映像は「あまり見ません」。「(ダルビッシュは)ストレートの質もいいですし、外に逃げるスライダーがすごい。(柳田は)ボールの張り方を見たりします」と、あくまで「ダル+柳田」を理想に掲げる。

「タンが好き」で白米1.2キロ

 昨秋の明治神宮大会では、神宮の左翼席に本塁打をたたき込み、一躍評価を上げた。関東大会時に70キロだった体重は、週3~4回の「焼肉トレ」で77キロに増量。午後6時前後の夕食後、午後8時から焼肉店に繰り出し、ラーメンどんぶりに入った1・2キロの白米を流し込む。「タンが好き」と豪華な夜食でビルドアップ。「スピードが上がって、回転が良くなった。バッティングはインコースをコンパクトに打つこと」と課題に取り組んできた。

 昨春はセンバツ準決勝を甲子園で観戦し、聖地の空気を体感。センバツの目標は「150キロ出したい。(本塁打は)カウントが良かったら狙いたい」と意気込む。理想は投げて、打ってのオンリーワンの活躍。「二刀流を続けられたら、最後まで続けたい」とプロでの活躍も思い描く。

 本家大谷は12年のセンバツで、大阪桐蔭の藤浪(現阪神)から本塁打を放った。衝撃的な活躍だったが、大谷は「見てなかったです…」とポツリ。最後まで、世界が注目する男の名前が出ることはなかった。【前田祐輔】

(2018年1月27日付日刊スポーツ紙面掲載)