熱中症予防の観点から、危険な暑さの時間帯での部活動や試合などが中止や延期、朝や夕方といった涼しい時間帯に変更されるようになりました。練習後に体を冷やせるようにアイスバスや扇風機を設置、増設するなど、施設面でも変化が起きているようです。

 私がサポートするチームでは、本格的な夏が始まる前に「スポーツドリンクや経口補水を作ろう!」と題し、飲料の組成を変化させて色々なドリンクを作る体験をしています。また、空のペットボトルを持ち寄って、飲料の成分を確かめてもいます。

サポートチームの選手たちと一緒にオリジナル経口補水液作りにトライ
サポートチームの選手たちと一緒にオリジナル経口補水液作りにトライ

 例えば、「スポーツドリンク」と記載されていても、ナトリウムが入っていない、量が少ないものもあります。エネルギーや糖質量も確認し、この飲料はいつ飲むべきなのか、リカバリーに適しているかといったこともみんなで確認しています。

手作りした経口補水液
手作りした経口補水液

 今回は、サポートチームのメンバーと一緒に作った「オリジナル経口補水液」を紹介します。目的に沿って、オリジナルのドリンクを作ってみて下さい。なるべく作ってから時間をあけずに飲み、飲まないときは冷やしておきましょう。

脱水治療のための飲料

 そもそも、経口補水療法(Oral Rehydration Therapy=ORT)は「コレラによる脱水症」の治療法として注目された、水と電解質を経口的に(口から)補給する治療法です。経口補水液(Oral Rehydration Solution=ORS)は、脱水時に不足している水と電解質を含み、それらの吸収速度を高めるために、糖質(ブドウ糖)が少量配合された飲料です。

 国内ではオーエスワン(OS-1、大塚製薬)、アクアサポート(明治)、アクアライトオーアールエス(ORS、和光堂)などの製品名で、ドラッグストアなどで販売されています。塩分を多く含んでいるため、普段の飲料としてではなく、脱水しているときの飲料として使用しましょう。

 推奨される目安は以下の通りです(体重1㎏当たり)。

乳児=30~50ml
幼児=300~500ml
学童から成人=500~1000ml

 腸閉塞(ちょうへいそく)、意識障害、激しい嘔吐をしていたり、おなかがはっている場合などは、絶対に飲んではいけませんし、飲ませてもいけません。重度の熱中症の場合は、体を冷やしながら病院を受診しましょう。

 また、ナトリウム、カリウム制限を受けている方や心不全、腎不全などでむくみやすい方などは医師に相談してください。

管理栄養士・舘川美貴子