2017-18年シーズンのBリーグファイナルで千葉ジェッツを下し、2代目王者に輝いたアルバルク東京(A東京)は、9月7日~9日に行われたプレシーズン戦、関東アーリーカップでは主力3人を欠きながら優勝、今季も戦力の充実ぶりがうかがえる。

A東京の司令塔、先発ポイントガードの安藤誓哉(26)は、日本のトップ選手としては珍しく、海外でのプレー経験が豊富だ。世代別代表として海外遠征や国際大会に挑むだけでは飽き足らず、明大4年時にはカナダのチームと契約してプロ選手となり、その後、フィリピンリーグでもプレーした。異国の地では、どのような食体験をしてきたのか、聞いてみた。【聞き手・青木美帆】

Bリーグファイナルでドリブルで切り込む安藤(A東京対千葉、2018年5月26日)
Bリーグファイナルでドリブルで切り込む安藤(A東京対千葉、2018年5月26日)

-海外ではどのように食事を

安藤 基本的には現地のものを栄養のバランスを考えながら食べていました。自炊するときはレシピサイトを参考にして。それまで料理を作ったことなんてなかったけれど、なんとかなるものですね。いい経験になりました。

-お米や日本食を持っていたり、定期的に日本から送ってもらったりは

安藤 していません。U-18日本代表のヘッドコーチだった佐藤久夫先生(明成高監督)の「現地のものを食べることは文化を学ぶ1つの方法」という言葉が染みついているからかもしれませんが、人生の経験の1つとして、そういうものに触れないのはもったいないなと。どの国にだってその国の食文化があって、おいしいものはあるわけじゃないですか。

Bリーグ王者となり喜びを爆発させるA東京の選手たち。前列左から斉藤、馬場、安藤、正中、小島。後列左から田中、菊池、ブレンダン・レーン、ザック・バランスキー、アレックス・カーク、竹内、ジャワッド・ウィリアムズ
Bリーグ王者となり喜びを爆発させるA東京の選手たち。前列左から斉藤、馬場、安藤、正中、小島。後列左から田中、菊池、ブレンダン・レーン、ザック・バランスキー、アレックス・カーク、竹内、ジャワッド・ウィリアムズ

-海外の食文化で驚いたことは

安藤 アメリカとカナダは普通でしたけど、フィリピンでは選手たちが試合前にバロット(孵化直前のアヒルの卵をゆでたもの)を食べているのを見て、びびりました。僕も食べましたよ。すごくおいしいとは思わなかったけれど、食べられなくはなかったです。

-どのような味?

安藤 いや…ちょっと表現が難しいですね…(笑)。

-海外では食事が合わずにコンディションを落とす選手もいますが、順応するコツは

安藤 個人的には現地の食事にわがままを言わず、あるものを食べることが大事だと思っています。世界中どこに行ったって食べ物は食べ物。プレーするには食べないことには始まらないので、極論ですが、無理してでも食べたほうがいいと思います。僕も水や食べ物が合わず、おなかを壊した経験がありますが、2週間もすれば慣れてピタッとおさまるんですよ。日本はそういうところで弱い選手が多いですよね。気にしすぎるのもあまりよくないと思います。

海外での大会や試合に短期決戦で臨む場合は、食べ慣れたものを用意し、コンディション調整するのがベターだが、現地で長期間プレーするなら、安藤の言う通り、その地の食文化にも触れて心身ともにチームに溶け込むことも必要だろう。

Bリーグ優勝パレードで、会場で配られた号外を手に笑顔を見せる(左から)ルカ・パビチェビッチ監督、安藤誓哉、アリーナMC南隼人さん(2018年6月1日)
Bリーグ優勝パレードで、会場で配られた号外を手に笑顔を見せる(左から)ルカ・パビチェビッチ監督、安藤誓哉、アリーナMC南隼人さん(2018年6月1日)

-秋田からの期限付き移籍を経て、今季からA東京に正式加入。10月4日のリーグ開幕に向けて抱負を

安藤 リーダーとしてその場を支配できるくらいの力を見せて、チームメイトを引っ張っていくことが今年の目標。色々な人の助けや力を借りて、今ここでプレーできるので、その恩を返せるように去年以上に結果を出して恩返ししたいです。

◆安藤誓哉(あんどう・せいや) 1992年7月15日生まれ、東京都出身。明成(宮城)でウインターカップ優勝、インターハイ準優勝。U-18日本代表として出場したU-18アジア選手権では得点王とベストファイブを受賞。明大在学中に海外挑戦に踏み切り、ハリファックス・レインメン(カナダ)、メラルコ・ボルツ(フィリピン)でプレー。15年に帰国し、栃木ブレックス、秋田ノーザンハピネッツでと渡り歩き、昨年、期限付き移籍でA東京に加入、今季、完全移籍。181センチ、80キロ。ポイントガード。