<でんぷんと酵素の科学>
皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)のみせすこと金子浩子です。前回は、「お団子の科学」ででんぷんについてお話しましたが、この科学を別の視点から見てみたいと思います。
秋、食欲の秋と言えば、思い浮かべるのはサツマイモ。食物繊維やミネラルの宝庫でいろいろな調理法がありますが、ほっくほくの石焼き芋が大好きな方も多いのではないでしょうか。電子レンジでチンしただけのふかし芋に比べて「石焼き芋は甘い」と感じたことはありませんか? イモの種類? 気のせい? いやいや、実際に甘くなるのです。そのナゾを一緒に解明しましょう。
まずは実験です。
<実験>
■用意するもの
・A=ご飯…少し
・B=30回ほどかんだご飯…少し
・ベネジクト液5ml…2つ
・試験管(耐熱容器)…2つ
※ベネジクト液は、還元性の糖(麦芽糖、乳糖、果糖、ブドウ糖、ガラクトース)を検出するために用いられる指示薬
■方法・経過
AとBをそれぞれ試験管に入れ、ベネジクト液を加えて熱湯で温めます。
ベネジクト液は青色ですが、糖があると緑→オレンジ色と変わっていきます。
5分経過すると、Bの液はオレンジ色に変わりました。こちらは糖が多くて、甘いことが分かりました。
オレンジ色に変化した理由
ベネジクト液がオレンジ色に変化した理由は、ご飯に含まれる「でんぷん」の変化によるものです。米の状態では、でんぷんは長い鎖状で構成されていますが、長くゆっくり加熱すると短い鎖状になり、糖が増えていくのです。
さらに、口の中でかむと、唾液に含まれる消化酵素(アミラーゼ)がでんぷんを分解し、一層糖を増やします。「ご飯をよくかむと甘くなる(糖が増える)」というのは、科学的にも証明されていることなのです。
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