砂糖がたっぷり入った炭酸飲料やスポーツドリンクの日常的な摂取が、肥満や糖尿病などの生活習慣病の原因になることは広く知られるようになりましたが、「ダイエット」「ゼロシュガー」「カロリーオフ」などの名称が付いていれば、安心だと思って飲んでいる人はいませんか?
米国医師会による医学雑誌「JAMAインターナル・メディシン」がこのほど、「ゼロシュガー(糖質ゼロ)」をうたった炭酸飲料でも、日常的に飲んでいると早死にするリスクが高まるという研究結果を明らかにしました。
「ゼロ」だから健康的ではない
健康志向の高まりから近年、大手飲料メーカーは、砂糖の代わりにアスパルテームやサッカリンなどの人工甘味料を使った糖質ゼロの炭酸飲料を販売しています。これらの「ゼロシュガー」飲料は、砂糖入り飲料より健康的なイメージがありましたが、今回発表された論文では、それらと同様、健康を損ねる恐れがあると警告しています。
欧州10カ国において16歳以上の45万人を対象に、炭酸飲料の摂取に関する長期に及ぶ調査を行ったところ、砂糖入りでも、人工甘味料でも1日2杯以上飲む人は、1カ月に1杯未満の人と比べて、病気で死亡する可能性が高いことが発表されました。また、人工甘味料入り炭酸飲料を日常的に飲んでいる人は、全く飲まない人よりも26%早死にする確率が高く、糖質ゼロでも大量摂取すると危険だとしています。
研究ではさらに、砂糖入り炭酸飲料と人工甘味料を使った炭酸飲料では健康への影響にも違いがあることを明らかにしています。前者は肝臓や膵臓、虫垂及びその他の病気を含む幅広い消化器官疾患による死亡との関連性が高い一方で、後者は循環器疾患による虚血性心疾患や冠動脈疾患のリスクが高いことが判明。また、両者ともパーキンソン病や大腸がんによる死亡率が高いことも、新たに分かったそうです。
ただ、人工甘味料そのものと死因の直接的な因果関係は今回の研究では示されていません。人工甘味料入り飲料を好む人たちは、一般的に外食が多く、加工肉やジャンクフードを食べている傾向が強いことから、不健康な食生活が影響を及ぼしている可能性も否定はできません。
選ぶなら甘い飲み物より「水」
しかし、健康のことを考えるなら「清涼飲料水ではなく、水を飲むべきだ」と専門家たちは忠告しています。「カロリーオフ」や「糖質ゼロ」などの言葉に惑わされず、甘い飲料を継続的に飲むことは控えた方が良さそうです。
【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】