<キッチンは実験室(30):発酵食品ヨーグルトの科学>

皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)のみせすです。今回のテーマは「ヨーグルト」と「発酵」です。

牛乳から作られるヨーグルト。ヨーグルトメーカーやヨーグルトの種菌の流通の普及によって、牛乳と種菌さえあれば、自宅で簡単に作れるようになりました。では、どうして「液体」の牛乳が、どろっとした「固体」のヨーグルトになるのでしょうか。

また、体質的に牛乳を飲むとおなかがゴロゴロするけれど、ヨーグルトなら食べられるという人はいませんか。その理由も明かしていきます。

ヨーグルトが固まる理由

牛乳がヨーグルトになるのは、次の2つのステップが理由と考えられています。

(1)発酵(乳酸菌による乳酸発酵)によって酸性になる
(2)タンパク質の酸凝固によって固まる

ヨーグルトは牛乳を発酵させたもの。発酵の過程で、乳酸菌が乳糖を分解して乳酸を作ることで酸性になります…(1)。

牛乳には、カゼイン(乳タンパク)とホエー(乳清)という2つのタンパク質成分が含まれています。これにレモン(酸)を加えてみます。

レモンを入れた牛乳を火にかけると、酸性と熱の働きでタンパク質が変性し、カゼイン、ホエー同士がそれぞれまとまります。水と仲の良い性質(親水性)を持つホエーは液体成分と一緒にまとまり、カゼインは固体に。これがカッテージチーズです。

カッテージチーズは酸性と熱で固まりましたが、ヨーグルトは乳酸発酵による乳酸の酸性の条件で、カゼインが固まります…(2)

プレーンヨーグルトを食べる時、固まりの上に浮かんでいる半透明の白い液体がホエー。栄養成分がしっかり入っているので、捨てずにいただきましょう。

液体と固体で製法の違い

さて、同じヨーグルトでも、のむヨーグルトと通常のヨーグルトでは製法が違うのをご存じでしたか? 原料である牛乳をホモジナイズ(均質化)して、殺菌して乳酸菌を入れるところまでは一緒。その後、通常のヨーグルトは容器に詰めた後に菌を入れて発酵させる(後発酵)のに対し、のむヨーグルトは工場のタンクの中で先に発酵させ(前発酵)、その後、甘味料や香料などを入れてよく混ぜてから、容器に充填するのです。

※ホモジナイズの詳細は以下を参照のこと。
振るだけでバターを作れる牛乳と作れない牛乳/キッチンは実験室(24)

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