<キッチンは実験室(38):わらび餅の科学>

皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)のみせすです。今回は、もちもち、とろーん、つるっとした初夏の和菓子「わらび餅」を作ってみたいと思います。しかし皆さん、正真正銘、本物のわらび餅を食べたことはありますか?

いまや和菓子店だけでなく、スーパーなどでも簡単に手に入るわらび餅。しかし、いくつかの商品を食べ比べてみると、食感や粘りが若干違う気がします。それらの原料を見ると、商品ごとに違っているのです。片栗粉、サツマイモでんぷん、本わらび粉…。

本来のわらび餅は真っ黒

そもそもわらび餅は、わらび(蕨)の根からとれるでんぷん「本わらび粉」を水で練って熱を加えたもの。ただ、わらび餅が全国的に人気になった江戸時代には、少量しか取れない蕨の根だけでは間に合わなくなったため、葛粉を混ぜて蒸すようになったそうです。今では葛粉も希少となったため、サツマイモやジャガイモのでんぷんが使われるようになりました。

野生のわらび
野生のわらび

本わらび粉100%で作ったわらび餅は、実は真っ黒なのです。食感に関しては、ぷるんとした弾力があり、軽く噛むとすぐに溶ける爽快感、そして口の中に広がる上品な甘さがあると言われています。

本わらび粉で作られたわらび餅
本わらび粉で作られたわらび餅

わらびの根は冬に収穫され、春に根から粉が作られるため、本来は「春の和菓子」でした。今は、わらびを使っていないわらび餅が主流になりましたが、原料は変わっても「わらび餅」として多くの人に好まれています。

今ではレンコン、サツマイモをブレンド

冒頭で、わらび餅によって食感や粘りが違うと書きましたが、和菓子店では商品によって粉を使い分けているそうです。

本わらび粉
わらびの根からとった純度100%のわらび粉。特に国産のものは希少なため、高級和菓子の材料とされている。灰褐色で粘りが強く、つるんときめ細やかな口溶けが特徴。

本わらび餅粉
本わらび粉が数%配合されており、他に葛粉、レンコン、キャッサバ、サツマイモ、ジャガイモのでんぷんで作られているもの。製菓材料店で売られている。レンコン、サツマイモ、生わらびの加工でんぷんがブレンドされているものが最も一般的。

わらび餅粉
ほとんどがサツマイモでんぷんからできている。粘りよりも、もちもちとした食感が特徴。

タピオカもイモのでんぷん

ちなみに、もちもちの食感で最近話題になったスイーツといえば、若い女性に大人気のタピオカドリンクです。タピオカの原料は、キャッサバというイモのでんぷん。キャッサバの根を水に溶かしながら粉砕し、繊維質をこして水に溶け出したでんぷん質を抽出したのがタピオカ粉になります。

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