<キッチンは実験室(41・上):アイスクリームの科学>

皆さん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)のみせすです。連日の猛暑で冷たいものが食べたくなりますよね。今回のテーマは「アイスクリーム」。アイスクリームの成分と構造を説明し、どうして溶けるとおいしくなくなるのか、そんな疑問にお答えします。

ふんわり滑らかな口溶けの訳

口に入れるとふんわりとろけていくアイスクリーム。実はこれ、空気を抱え込んだ泡なのです。

この口溶けを科学するために、アイスクリームの成分に着目してみましょう。アイスクリームには以下の3つの成分が含まれています。

気泡(空気)
乳脂肪
氷の結晶

これらが、牛乳の水分の中に浮かんでいる構造です。乳脂肪は小さな脂肪球として存在。気泡の周りに集まって層を作って安定化し、柔らかい壁のようにアイスクリームの構造を支え、骨格となっています。

気泡によってふんわりとした食感、脂肪分によって滑らかさが出ます。氷の結晶が大きいと舌の上でざらざらと氷の粒を感じてしまうので、食感の邪魔をしないよう結晶は小さくなっているはずです。

高級アイスは乳脂肪分が多い

ところで、高級なプレミアムアイスは濃厚でこってりしていますよね。通常のアイスクリームとの違いは、アイスの構成成分の1つ、乳脂肪分にあります。

乳脂肪分が多いほど舌触りがよくクリーミーに感じ、濃厚な風味が実現するのです。手作りする時には、牛乳の代わりに生クリームを使うと、一層濃厚な味わいのアイスが完成します。

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