ご飯やパン、麺、イモ類、果物、砂糖などに多く含まれる糖質は、アスリートにとってエネルギー源となる重要な栄養素です。「パワーや持久力を高めるために、糖質をしっかりとりましょう!」というアドバイスを聞いたことがあると思いますが、実は糖質だけ摂ってもエネルギーにすることはできません。

糖質をエネルギーに変えるためには、様々な栄養素が必要になります。酸素がない状態(無酸素)と酸素がある状態(有酸素)でも流れが異なります。

ビタミンB群やマグネシウムなどが必要

無酸素でエネルギーを生み出せるのは、急にダッシュする、ジャンプする、力を入れるなどの瞬発的な力を発揮したいときと、酸素が供給できない状況のときです。無酸素からエネルギーを作る流れを「解糖系」と言い、ここで使われる栄養素で最も重要なのはマグネシウムと、ナイアシンというビタミンです。

有酸素では、肝臓や筋肉に多くあるミトコンドリアという細胞の中の器官で、もっと大きなエネルギーが作られます。そのときに必要となる栄養素は、ビタミンB群(ビタミンB1、B2、ナイアシン、パントテン酸)、マグネシウム、鉄、コエンザイムQ10。これらの栄養素が不足していると、たとえエネルギーのもとである糖質があったとしても、体の中でエネルギーにすることができません。

白砂糖や精製された小麦ばかりを含むお菓子や菓子パンなどで糖質を補給しても、栄養素不足になってしまいます。雑穀米、きび砂糖、イモ類、果物をとり、「主食+おかず」を組み合わせることで、糖質をエネルギーに変える栄養素が一緒にとれるのです。

鉄不足でもエネルギーが作れない

また、鉄が足りていないと酸素を全身に運ぶ赤血球が不足するため、上記で説明した「有酸素」のエネルギー産生ができなくなってしまいます。大きなエネルギーを生み出す有酸素のエネルギー産生が止まると、疲労や体力低下につながります。つまり、貧血で体が動かなくなってしまうのは、エネルギーが作り出せないことが要因なのです。

糖質をとればエネルギーになるということではなく、「糖質をエネルギーにするためには一緒に様々な栄養素が必要」ということを覚えておけば、選択する食品も変わってくるでしょう。ぜひ選手自身にも知っていただきたいことです。

今回紹介するのは「ツナのカレーピラフ」です。混ぜご飯は、糖質と、それをエネルギーに変える栄養素が組み合わさっています。ぜひお試しください。

管理栄養士・園部裕美