関甲新学生野球リーグに超大型遊撃手が誕生する。白鴎大・中山誠吾内野手(3年=青藍泰斗)は身長190センチ、体重97キロで、ヤンキースの名遊撃手だったジーター(191センチ、89キロ)並みの体格を誇る。昨秋にリーグ最多4本塁打を放ち、大学日本代表候補強化合宿の参加メンバーにも選ばれた(合宿は中止)。チーム事情から一塁、三塁を守ってきたが、ドラフトイヤーの今年は本来のポジションである遊撃で挑む。

バットを手に持つ白鴎大・中山(撮影・古川真弥)
バットを手に持つ白鴎大・中山(撮影・古川真弥)

頭1つ、抜けている。栃木・小山の白鴎大グラウンド。外野を走る選手たちの中で誰が中山かは、遠くからでもすぐ分かる。「小6で170センチ近くあって、ずっと伸びてました。中3で180超えて、大学に入ってやっと止まりました。毎年、身長が変わるんで、服が大変でした。制服はピチピチ」と、笑って明かした。

バットを手に持つ白鴎大・中山(撮影・古川真弥)
バットを手に持つ白鴎大・中山(撮影・古川真弥)

恵まれた体を生かし長打を重ねるが、2年春まではリーグ戦ノーアーチ。転機は、その年の夏だ。1日6食(朝食1回、昼食2回、夕食3回)を敢行した。練習と練習の間に食べる感覚。朝だけ軽めで、他はしっかり、どんぶり飯をかき込んだ。ウエートにも力を入れた。すると、体重が87キロから97キロに。「これで? という当たりが入るようになりました」。4番に座った2年秋は3本塁打で、リーグトップの11打点。中止の3年春を経て、昨秋は4本塁打と上昇曲線を描く。

進路志望は「プロに行きたい。それしか考えてません」。祖父の夢だったプロ野球選手になろうと、父誠さん(58)は社会人野球まで進んだが、かなわなかった。その父から「今度はお前が頑張れ」と背中を押される。中山家3代の悲願達成へ、今年は遊撃で勝負する。「体が大きくなっても動けるように」走り込む。

16日は今年初めてフリー打撃を行い、約150スイング。「まだまだです」と言ったが、右翼へ高い放物線を放った。阪神、ロッテでプレーした藤倉多祐監督(63)は「飛ばす力は群を抜く。凡打のフライも高さが違う。打てる内野手としてアピールさせたい」。大型遊撃手として、存在感を発揮する。【古川真弥】

◆大型遊撃手 日本球界を代表する大型遊撃手といえば、巨人坂本(身長186センチ、85キロ)と中日京田(184センチ、83キロ)が挙がる。他には、DeNA倉本(180センチ、82キロ)や昨季1年で退団したヤクルト・エスコバー(185センチ、88キロ)。180センチ台が並ぶセに比べ、パは日本ハム石井(182センチ、78キロ)ぐらいで、身長170センチ台の選手がほとんど。まだ出場数は限られるが、オリックス太田(181センチ、81キロ)紅林(186センチ、82キロ)の若手2人は大きい。

(2021年1月17日、ニッカンスポーツ・コム掲載)