<DeNA3-1広島>◇4日◇横浜
おかん、ありがとう! DeNAの高卒4年目右腕、阪口皓亮投手(21)が、プロ初勝利を挙げた。4日の広島3回戦(横浜)に先発し5回を2安打無失点。女手ひとつで育ててくれた母京子さんが見守る中、最速152キロの力強い直球を軸に3奪三振。187センチにまで成長した3人きょうだいの次男坊が、たくましい姿を見せた。
大阪で生まれ、北海道で芽吹いた若葉が、4年目の横浜でついに開花した。うれしさのあまり、試合終了時にはベンチで号泣した。野球で涙を流したのは、甲子園出場を決めた時以来だった。初めてお立ち台に上がった阪口は、同じく初勝利となった三浦監督からもらったウイニングボールについて問われると、迷いなく言い切った。
阪口 お母さんとお兄ちゃんが応援に来てくれていました。女手ひとつで育ててくれた母に渡したいです。
母には感謝しかない。高校から親元を離れ、北海高3年夏に出場した甲子園で注目を浴びた。17年ドラフト3位でプロへの扉を開き「涙を流して喜んでくれた」という最愛の母は間違いなく「一番、恩返ししなくてはいけない人」だった。横浜でも、すぐに結果は出せなかったが、毎年、帰省した際に手料理を味わうことに小さな幸せを感じてきた。「僕がロールキャベツを好きなので、毎年、帰った初日に作ってくれて。それが毎年続いているのが小さなことですが思い出です」と振り返る。
小学時代はママさんバレーをしていた母について行き、時には一緒にプレー。今でも「バレーボールは好き。アタックを打つのが好きなので」という。感謝の気持ちは常に忘れず、昨年5月10日の「母の日」にも自身のツイッターでメッセージ。「女手一つで3兄弟を育ててくれたおかんを心から尊敬しています。誰よりも強くて、子供想いで、1番応援してくれる、自慢のおかんです! 言葉では伝えきれないくらい感謝しています 本当にありがとう 皆さんもお母さんに日頃の感謝を恥ずかしがらず、伝えましょう」(原文まま)とつづった。
18年1月の入寮前には、母に「活躍して家を買う」ことを約束している阪口。恩返しの白星を積み重ね、必ず約束を果たしてみせる。【鈴木正章】
(2021年4月5日、ニッカンスポーツ・コム掲載)