春です。明日山さん一家の4人はそれぞれ多忙な日々を送っています。キュウジさんはリモートで在宅勤務が続いており、今の楽しみは昼食、ヨウコさんのお弁当です。
部活動で後輩ができた高校2年のハヤタは、テニスの練習にも気合いが入っています。インターハイの予選を兼ねた都大会で団体では優勝。緊張から少し解放されましたが、来週末から個人戦のシングルスが始まります。まだ少し疲れが残っています。
小学5年の妹のエミは最近、体がだるくてあまり泳ぐ気がしません。体つきがふっくらし、皮下脂肪がついてきたような気もしてきました。給食がない小学校に通っており、ヨウコさんもパート先にはお弁当を持参します。
子どもが幼い頃から試合会場には必ず足を運んでいるヨウコさんは、ここ最近、ハヤタの疲労回復とエミの体調が気がかり。ここは家族みんなが元気に、笑顔があふれるようにと「4月スタート張り切り万能弁当」を作ろうと計画しました。
お弁当でもアスリートの基本の6品
お弁当の作り方は「部活弁当」での連載を参考にし、お弁当でも「アスリートの食事の基本」である6品を揃えるようにします。
■主食…糖質(ご飯・パン・麺など)
長時間の練習や試合で勝ち抜くためのエネルギー源。テニスは戦略も必要なため脳を働かせるエネルギー源としても必要。
■主菜…タンパク質(肉・魚・大豆製品・卵など)
体を作る元の栄養素を摂り入れ、強靭な筋肉を作り、ケガをしない体にする。
■副菜…ビタミン・ミネラル(野菜、イモ、海藻類など)
コンディションを調整するために必要で、脱水などの予防にもなる
■乳製品…タンパク質・カルシウム(牛乳、ヨーグルトなど)
骨強化、神経の調節などの役割
■果物…ビタミンC
熱に弱い栄養素のため、生のまま食べられる果物は栄養素の損失がない
■汁物…水分・ナトリウム補強(みそ汁・スープなど)
水分補給とともに食材や栄養素を効率良く摂れる
お弁当の量とお弁当箱のサイズ
次に食べる分量、お弁当箱のサイズです。お弁当箱は、必要な摂取エネルギー量と同じ容量のものを選びます。容量は裏に書いてあるものもありますが、分からない場合は水を入れて、何ml入るか確認しておきます。
例えば、部活でハードな練習をしているハヤタが1日に必要なエネルギー量は4410kcal。これを3食と補食やドリンクなどでとっています。部活前後の補食などを引くと、1食980kcalの計算。主食は食べやすいおにぎりにするため、おかずの容量は600ml入る容器を準備しました。
「張り切り万能弁当」で盛り込むポイント
「4月スタート張り切り万能弁当」で盛り込みたいポイントは次の通り。そのために必要な栄養素と食材を考えていきます。
●疲労回復(試合の緊張感、負けられないプレッシャーなどによる精神的な疲れ)
→糖質を早くエネルギーに変えるビタミンB1が必要。
●免疫力アップ(コロナや花粉症対策)
→ビタミンA(βカロテン)を豊富に含む緑黄色野菜を油で調理。
→肉、魚、卵などの良質なタンパク質を含む食材で、粘膜や免疫細胞を丈夫に。
→乳酸菌や発酵食品、食物繊維などで腸内環境を整えてウイルスの侵入を防ぐ。
さらに試合も間近なので、できるだけ脂質を抑えることを意識します。40代半ばとなり、おなか周りが気になるキュウジさんと自分のためにも余計な油は摂りたくないと思っています。ただし、エミのホルモンバランスを崩さぬよう、適度に良質な脂質を入れるよう気をつけます。