梅雨入りが近づいてきました。湿度・気温ともに高くなるこれからの時期は、食中毒に気をつけなければならない季節です。梅雨時期の食事作りにおける衛生管理のポイントをまとめました。

食中毒予防の3原則

食中毒を予防するためには次の3点がポイントとなりますので、意識して対応していきましょう。

(1)つけない(清潔を保つ)…手洗い、調理器具の使い分け
(2)増やさない(温度管理)…食材にあった温度管理、調理後の速やかな喫食
(3)やっつける(十分な加熱)…食品の十分な加熱

食品の水分をコントロール

料理が傷む原因は「水分」で、食品中には次の2種類の水が存在します。

自由水…食品成分と結合していない水分。微生物が増殖するために利用できる
結合水…食品成分と結びついているため微生物は利用できない水分

このうち「自由水」が多い食品が保存性に劣り、傷みやすくなります。

具体的に、自由水が多い食品とは「生ものや汁物、味の薄い料理」です。市販のお惣菜やお弁当はどれも味付けがしっかりしていますよね。これは食品中の水分を調味料と結合させることで自由水の割合を減らし、保存性を高めるという意味合いもあります。梅干し、ジャムなどは一見水分が多く見えても、大量の塩や砂糖が食材の水分と結びついているため微生物が繁殖しにくく、長期保存が効くのです。

夏場の作り置きやお弁当の注意点

夏場に料理を作り置いたり、お弁当を作る際は以下のことに注意しましょう。

(1)味は濃い目につけ、できる限り汁けをきる
(2)酢や梅干し、ワサビなど抗菌作用のある食材を利用する
(3)加熱後は中までよく冷ましてから盛り付ける

市販品もうまく活用しよう

しかし、これからの暑い時期はどれだけ衛生面に気を配っても、お弁当を長時間持ち運ぶことはリスクも伴います。遠征先では現地の仕出し弁当を利用したり、おにぎりの代わりにエネルギーゼリーやバーなどを補食に利用したりするのもよいですね。

また、水筒やペットボトルの飲み物も要注意です。特に麦茶や清涼飲料水は雑菌が繁殖しやすく危険です。水筒はしっかり保冷し、ペットボトルは開けたらなるべく早く飲み切りましょう。

今回紹介するレシピは「豚肉の梅大葉ロール」です。食材の防腐効果の高い梅と大葉をスタミナ食材の豚肉で巻きました。梅は塩だけで漬けた昔ながらのしょっぱい梅干しの方が、甘い梅干しよりも防腐効果が高くなります。これからの時期のお弁当にもおすすめの一品です。

KAGOSHIMA食×スポーツ/管理栄養士・川口郁子