今では、コンビニやスーパーでもごく普通に売られている「稲荷寿司」。歴史は古く、江戸時代にまで遡ります。
江戸時代末期に、江戸時代後期の三都(江戸・京都・大阪)の風俗、事物を説明した一種の類書として書かれた「守貞謾稿」に初めて稲荷寿司が登場しました。当時から安価でおいしく庶民に愛される味で、手軽な食べ物として人気を博したそうです(一般社団法人全日本稲荷寿司協会HP、稲荷寿司の歴史より)。
日本人が昔から食べてきた稲荷寿司は、外側が植物性タンパク質の油揚げ、中身は糖質の米が主体です。現代のスポーツ栄養に照らしてみれば、「筋肉をつける」「疲労回復」「成長に必要」とする食材のよい組み合わせと言えます。もちろん、いにしえの日本人はそんなことを知る由もなく、おそらく単に、庶民にも手の届く食べ物という理由で長く食べられてきたのでしょう。
山梨県の「ほうとう」「吉田うどん」
このように定番の和食や、日本各地で昔から食べられてきた「ソウルフード」ともいえる郷土料理には、かなりアスリート向けの料理があります。私の合宿所のある山梨県には、郷土料理の「ほうとう」や「吉田うどん」などがあります。
「ほうとう」は太くて短い麺をカボチャなどの野菜や豚肉とともに煮込んだもの。味はみそベースです。糖質、野菜、肉をしっかり煮込んであるため、カボチャやイモも柔らかく、疲れた消化器官にも優しい一品。汁に溶けだした水溶性のビタミンB1を汁ごといただけば、糖質のエネルギー変換にも役立ちます。
「吉田うどん」は富士吉田市など富士山寄りの地域の郷土料理で、太くて硬い麺に甘辛くした馬肉が入ります。馬肉は高タンパクの食材で脂質少なめのアスリート向け食材です。
皆さんの住む地域や故郷にある郷土料理も、見方を変えればアスリートフードになるものもあるのではないでしょうか。まさに「温故知新」ですね。海外から来たような目新しいスポーツフードばかりでなく、見慣れ、食べ慣れた郷土料理を改めて見直し、スポーツフードとして活用していきましょう。
今回紹介するのは、夏におすすめの「青ジソと梅の夏いなり」です。油揚げは市販の味付きを使えば、簡単に作れます。
寿司の味付けはポン酢と梅干し、青ジソとミョウガをあえてさっぱり味のお稲荷さんです。夏のランチに、練習前の軽食にいかがでしょうか。