ロサンゼルス・ドジャースに入団した大谷翔平投手(29)と山本由伸投手(25)が、昨年12月に地元ロサンゼルスにある高級日本食レストラン「Matsuhisa」で食事を楽しんだことがネットで話題になりました。同店のオーナーシェフ松久信幸氏(74)が、自身のインスタグラムで2人に囲まれた3ショットなどを公開。大谷投手も自身のインスタグラムのストーリーでこの投稿を引用する形で山本投手との食事会を報告しており、相次いでドジャースと大型契約を結んだ2人がどんな店で食事をしたのか、気になったファンも多いことでしょう。

Matushisaは、1987年に開店した老舗の日本食レストランで、高級レストランが軒を連ねるビバリーヒルズのレストラン激戦区にあります。

大谷翔平が山本由伸と訪れた高級日本食レストラン「Matsuhisa」
大谷翔平が山本由伸と訪れた高級日本食レストラン「Matsuhisa」

ペルーやアルゼンチンで寿司職人として働いた経験を持つ松久氏は、伝統的な和食と中南米料理を融合させた創作和食を得意とし、ペルー名物のセビーチェやハラペーニョ(メキシコを代表する青トウガラシ)を使った刺身などが人気です。多彩な創作料理だけでなく、伝統もしっかりおさえており、ブラックコッド(ぎんだら)のみそ焼きや和牛の陶板焼きは、店の看板メニューとなっています。ほかにもドライみそを使ったサラダや白身魚の刺身、新鮮な魚介類を使った握り寿司にも定評があります。

「NOBUスタイル」で多くのハリウッドセレブが顧客

オープン当初は、アメリカ人には今のように生魚を食べる習慣がなかったため、生臭さを感じさせずに楽しんでもらおうと、トロをステーキのように焼いて提供したり、生魚の表面に熱した油をかけて軽く火を通したりといった工夫をしていたという逸話もあります。センスと伝統にこだわらないスタイルがMatsuhisaの人気の秘訣です。

また、ワサビや米などの食材は日本産にこだわり、魚も日本をはじめ世界各国から旬の一番よいネタを厳選して仕入れていることで知られています。顧客の多くは、バラエティに富んだ料理が楽しめる「おまかせ」を注文するそうです。

美食家や著名人の間で、松久氏は「NOBU」の名で親しまれています。松久氏が作った料理は「NOBUスタイル」と呼ばれ、多くのハリウッドスターたちをも魅了し、俳優トム・クルーズや女優ナタリー・ポートマンら大物スターたちもが顧客に名を連ねています。

松久氏の料理にほれ込んだ常連の俳優ロバート・デ・ニーロの熱烈なアピールで、94年にニューヨークに「NOBU」を開店させたのは有名な話です。いまやNOBUは東京を含む世界に60を超えるレストランとホテルを展開する一大企業に成長。「アメリカで最も有名な日本人シェフ」の1人として知られるようになりました。

今年のゴールデングローブ賞のメニューにも採用

現在も松久氏は精力的に世界各国の店舗を回るなど現役として活躍しており、7日(日本時間8日)にビバリーヒルズで開催されたゴールデングローブ賞授賞式では、同氏の考案した料理がメニューに採用されました。主演男優賞にノミネートされたレオナルド・ディカプリオら各賞の候補たちは「わさび醤油のサーモンタルタル、キャビア添え」「ブリのハラペーニョ」「握り寿司セット」などに舌鼓を打ったそうです。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】