ロッテ加藤翔平外野手(25)は、子供の頃から偏食だった。生ものや貝類、甲殻類、ネバネバ系が苦手で、野菜も好き嫌いが激しかった。それが1年前、あることがきっかけで改善を決意。少しずつだが、食べられるものが増えている。
秘密兵器持参、キャンプで生野菜
今回のキャンプに、加藤は“秘密兵器”を持ち込んだ。「これでサラダが食べられるようになりました」。
昨秋、スーパーマーケットで見つけた塩ドレッシングだ。それまでは生野菜が苦手だった。かけすぎに気を付けながら、今では毎食、サラダから食べている。「野菜を先に食べた方が消化が良いと聞いたので」。偏食を克服しつつある。
火が通っていないものが苦手だった。「焼き魚は大好物」だが、刺身はダメ。生肉も無理。貝類、甲殻類は火が通っていても嫌い。野菜で食べられるのはナス、ジャガイモぐらい。ニンジン、トマトは微妙で、ピーマンはダメ。オクラ、とろろなどネバネバ系もダメで、納豆は近くで他の人が食べるのもアウトだ。「親は苦労したと思います」と苦笑いで振り返った。
母清美さん(55)と一緒に暮らしている時は、まだ救われた。野菜を細かく砕いたり、体に良いものをと酢を使ったりしてくれたからだ。問題は、家を出た大学(上武大)時代。最上級生になると外食が増えた。つけ麺&スタミナ丼。あんかけ肉チャーハン。牛丼はチーズトッピング。高カロリーの定番が並んだ。
同い年のプロに刺激受けた
プロ入り後は、寮では良くても、遠征先でコンビニのパスタやスイーツに手が伸びた。「栄養の少ないものばかり。まずいとは思ってたんですが」と、これまた苦笑いで振り返った。
きっかけは、2年で寮を出たオフの自主トレだった。15年1月、鈴木、吉田らと高知で汗を流した中に、オリックス松葉も参加していた。「食べる量、時間を制限していた。知識も豊富。金子千尋さんもそうだと言ってました」。退寮し、新生活を迎えていた加藤にとって、同い年左腕の意識の高さが刺激になった。
口に運ぶ努力をした。「食わず嫌いが多かったですね」。今ではピーマンもOK。今年1月の高知では、カツオの刺身にもトライした。炭水化物を減らし、体重88キロを維持。食べても五穀米だ。おやつも減らした。小腹がすけば、炭酸水で腹をふくらませる。
効果実感、血液検査の数値改善
効果を実感している。昨季終了後の健康診断で、血液検査の数値が改善した。「あのままだったら選手生命が短くなったと思います」。今でも貝類、納豆、ブロッコリーは食べたくない。それでも、この1年で大きな進歩だ。【古川真弥】
寮生活だったり、集団生活で偏食があると、かなり不利になってしまいます。もともと持ってるパフォーマンスが出せなかったり、伸びるはずだった身長が伸びなかったりと、もったいないことになります。お子様のうちは何でも食べられるよう練習しておいた方が、いい選手になれる確率が高まると思います。
かといって、成人やプロが、絶対食べられない物を無理して食べる必要はありません。ニンジンの代わりにカボチャだとか、トマトの代わりにブロッコリーだとか、同じような栄養素を含む代わりの物を食べられるならばそれでいいと思います。
ただ、食べず嫌いのレベルならばトライすべきです。加藤選手のように、何かをかけたら食べられる、というのはすごくいいと思います。アレルギーとかで無理する必要はないので、注意しながら取り組んでください。
(2016年2月17日付日刊スポーツ紙面掲載)