巨人沢村拓一投手(27)は1月に行ったハワイ自主トレで「炭水化物抜きトレーニング」に取り組んだ。主な食事は鶏肉、牛ステーキで、タンパク質を多く摂取するようにした。ダイエットでなく、質の高い筋肉を求めての工夫。独学での肉体改造に迫った。

ハワイでの自主トレーニングで、遠投する巨人沢村(撮影・細江純平)
ハワイでの自主トレーニングで、遠投する巨人沢村(撮影・細江純平)

 「チキンライスのライス抜きで、鶏肉は1・5倍でお願いします」。沢村が鍛え抜いた練習後に、レストランで注文した。スープ、マンゴー、蒸し鶏が1つの皿に盛りつけられて運ばれてきた。脂身は全てはがし、約20分かけゆっくりと食べた。「よく食べるのが、鶏のむね肉です。高タンパクな物を食べるようにしています」と話す。徹底した食事管理を苦にする様子はない。

ご飯、麺類抜き、オフ限定で徹底体作り

 ハワイでのテーマは「筋肉の質を高める」ことだった。炭水化物の摂取は3日に1回程度。しかも、ご飯は茶わんに1杯ほど。一般的に「炭水化物を食べない」というキーワードで、想像するのが「ダイエット」だが、沢村は違う。筋肉の質を高めるためだ。

巨人沢村が1月のハワイ自主トレ中に注文したチキンライスのライス抜き
巨人沢村が1月のハワイ自主トレ中に注文したチキンライスのライス抜き

 実際に、体重は100キロ前後で自主トレ前とほぼ変わらなかった。「個人的な考えですけど、体を大きくしたいなら肉を食べないと。だから外国人はあれだけ大きいと思います」。割れた腹筋が効果を物語っていた。

 炭水化物を減らし、栄養が足りない分は、サプリメントやプロテインでカバーする。練習の前後や就寝前に摂取していた。

おいしいものでなく、体にいいもの

 3食、何を食べていたのか―。朝食は目玉焼きにソーセージ、野菜ジュースやスムージー。昼は鶏や牛ステーキ。夜も牛ステーキだった。日によっての誤差はあったが、ほとんどがこのメニューのローテーション。

 * 沢村 * おいしい物を食べるんじゃなくて、体に良い物を食べるんです。肉をたくさん食べることも同じです。肉質を良くするために食べるんです。

 シーズンが始まれば、投球に必要だから、ご飯や麺類といった炭水化物を摂取する。「オフにしかできないことなので、炭水化物は抜きました。これで効果が出れば、またやればいいことだと考えてます」と話した。

 大好物ばかり食べる食生活はもう卒業。毎食、米中心の食事やお菓子は控えた。筋力トレーニングが注目されがちな沢村だが、食事においてもストイックに徹底的にこだわっていた。【細江純平】

本当にゼロはダメ。フルーツなどで摂取

<管理栄養士・大前恵氏(株式会社明治)の解説>
 間違えて欲しくないのは、マンゴーとかスムージーに使うフルーツも炭水化物だということです。ここで沢村選手の言っている炭水化物というのはご飯とか麺類といった限定したものだということを分かっていてほしいと思います。

 本当に炭水化物を0にしてしまうと筋肉が壊れる一方で、素晴らしいウエートトレの効率が悪くなってしまいます。沢村選手は勉強していて、それを知っているので、フルーツなどで炭水化物を摂取しています。

 一般の方で炭水化物を抜く減量をする人がいますが、健康的に痩せようと思うのならば、脂の多いソーセージの代わりにハムを食べたり、目玉焼きの黄身を取り除いて食べたりした方が、炭水化物を抜くよりは、効果的に体脂肪を減らして筋肉を維持できます。

(2016年2月17日付日刊スポーツ紙面掲載)