<日比万葉の母・恵さんインタビュー(1)>
プロテニスプレーヤー日比万葉(ひび・まよ、20=安藤証券)は、昨年の全米オープンで予選を突破し、初めて本戦に進出した。今年は世界ランキング100位以内を狙う位置にいる伸び盛りだ。日本で生まれ、2歳から米カリフォルニア州で育った日比の体作りの基礎となったのが、母・恵さんの手料理。インスタント食品やジャンクフードを極力避け、手作りの食を優先してきた。ツアーに同行することも多い恵さんに、これまでの食生活について話を聞いた。
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冷凍食品、インスタント食品使わず
夫婦そろって食べるのが好きなので、アスリートにするとかは関係なく、なんでも食べられる好き嫌いのない子に育てようと気をつけてきました。子供のころは嫌いなものもありましたが、味付けや調理方法を工夫したり、新鮮なものを買ってきて、少量でも食べさせて苦手をなくす努力をしました。ホウレン草3本だけとかでもいいから、とにかく食べさせていると、ある時気づいたら、「あれ?これ美味しいかも」となることがあるんです。今は基本的になんでも食べます。
私自身が料理が好きで、なんでも手作りしていました。パンも焼きますし、肉まんとかも全部自分で。一番気を付けていたのは、冷凍食品やインスタント食品を使わないこと。特別なものではなくても、肉と野菜を炒めただけでも手作りするようにしていました。
こちらの子は小さい頃からピザとかハンバーガーとか食べますが、うちの子は幼い頃から食べ慣れていませんでしたから、たまに食べると「もういい」ってなるみたいです。小学校ではお弁当を持たせました。バイランチというシステムで昼食を購入することもできたんですが、一度試させたところ3日で「もういい」と言ってきました。試合の際には、おにぎりでした。
飲むのは常温の水、コーラは飲まない
コーラなどは飲みません。スポーツドリンクも砂糖などが入っていますから、子供のころから飲ませていません。「スポーツ」と名が付くと体に悪いとは思わないですよね。こちらでは1日1リットルくらい飲んでいる子供を見ますが、それを小さい時からずっと続けていると、やっぱり怖いですよね。なので、うちはずっと、氷も入れない常温の水を飲ませています。
遠征のときはハンバーガーを食べざるをえないときもあります。疲れているときには糖分を取るのにお菓子を食べてもいい。ただ必要と分かって食べるのと、なんとなくお菓子がそこにあるから食べるのとでは違うと思います。ちょっと甘いものを食べたい時のために、目に見えるところに体に良い黒砂糖とかバナナを置いています。
試合前はおにぎりかフルーツ
試合前はおにぎりかフルーツといった消化の良さそうなものを。試合後はプロテインのシェイクを飲んだりしています。激しい運動後は早めにプロテインを取る方が良いと言われていますから。ジュニアの時はそういうことまでは私も勉強していませんでした。ただそのころは試合が長引くかもしれませんし、おにぎりとかフルーツとか必ず用意していました。お腹へって死にそうとは言わせないという感じですね(笑)。
食料供給は私の仕事でした。食べるものは私が用意し、あなたは試合に集中しなさい、という感じでやってきました。
けっしていつも料理を頑張っているわけではなく、何もなかったらご飯と納豆でもいいかなと気軽に構えてました。ご飯に梅干しと塩サケと大葉とゴマと入れて混ぜるだけでも、バランスの良いご飯は作れます。これはおにぎりにもできて楽ですよ。
食事のおかげかどうかは分からないですが、万葉は精神的に落ち着いていますね。テニスは精神プレーなので、時にはかっとなる時もありますが、どちらかというと落ち着いてプレーしていると思います。それは幼いころからの食事が多少なりとも影響していると思います。【千歳香奈子】
1996年4月3日、大阪生まれ。父親の仕事の都合で2歳の時に渡米し、一家でカリフォルニアに移住。テニスコーチのライセンスを持つ父の影響で5歳からラケットを握り、7歳から本格的に競技を始める。10歳の頃からクリス・ルイス選手に指導を受け、2014年プロ転向。2015年全米オー プンで予選突破。カリフォルニア州アーバインを拠点に米ツアー参戦。安藤証券所属。バックの片手打ちを得意とする。168センチ、55キロ。