<日比万葉の母・恵さんインタビュー(2)>

 プロテニスプレーヤー日比万葉(ひび・まよ、20=安藤証券)の母・恵さんは、娘にできる限り手作りの料理を食べさせてきた。家族の住む米ロサンゼルス近郊には、新鮮な野菜や肉など、必要な食材がそろっていたことも大きい。バランスのとれた食事を心掛け、遠征の際にも炊飯器や食材を持ち込むことがあるという。プロアスリートになってからの食生活について、恵さんに聞いた。

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必要な食材をまとめ買いで常備

 ロサンゼルスに住んでいると、なんでも手に入るので日本にいるのとさほど変わりませんね。むしろ日本にいるよりも、お肉は安いので思い切って使えます。野菜も安いですし、調味料も手に入らないものはほとんどないですね。家で作る分には日本にいるときと変わらない食事を作れると思います。

 魚の種類が少ないくらいですか。こちらはファーマーズマーケットが充実しているのでよく利用しています。地元で取れた新鮮な野菜をそのまま食べるように心がけています。料理に使う塩や砂糖など基本調味料も、自分が気に入ったものだけ。砂糖は黒砂糖、塩も天然のものを使っています。

肉を前に笑顔の日比万葉
肉を前に笑顔の日比万葉

 タンパク質は必要なので、肉はまとめ買いして冷凍庫に常備しています。だいたい家族で1度に2パウンド(約900グラム)は使います。魚の日もあって、パエリアなどでシーフードを食べたりします。肉でなくても鳥ガラを買ってスープにしたりとか。野菜を入れて圧力鍋で調理するとおだしも出ておいしいですよ。

 卵は3ダースは常に冷蔵庫に入っています。朝は自分で目玉焼きやスクランブルエッグを作って食べます。ハムとか加工品もあまり使わなくなりました。ハムの代わりに豚肉を茹でたものをサラダに使ったりしています。お豆腐もよく食べます。

遠征先でも手作り、醤油と調味料持参

 遠征に私が同行する場合は、キッチンが付いているホテルに泊って、炊飯器や食材を持ち込んだりもしています。でもお鍋さえあれば炊飯器がなくても焚けますから、最低限のお醤油とか調味料さえあれば現地調達でなんとかなります。ご飯に野菜とチキンを塩味だけで焼いただけでも、外食とは違いますよね。手の込んだものでなくても、野菜スープだけでもいいんです。塩だけの味付けでお肉を食べたりとか。そっちの方が本人も安心するみたいです。

昨年の全米オープンで予選を突破し、本戦に進出した日比万葉
昨年の全米オープンで予選を突破し、本戦に進出した日比万葉

 去年は18週くらい試合に出て、3分の1は私が同行してご飯を作りました。それ以外は1人なんですが、米国の場合、ハウジングと言ってボランティアの方がホームステイをさせてくれるシステムがあるんです。そこでご飯もきちんと出してもらえるので、よく利用しました。無料で送り迎えから朝晩の食事まで全部やってもらえるので素晴らしいですよね。大会のディレクターから紹介してもらえます。

 メキシコに遠征に行った時に、料理が食べ慣れなくて困ったようです。テニス選手は世界を渡り歩くことが多いので、今考えるともっといろいろな世界の料理とか食べさせておいた方がよかったかなと思ったりもしますね。インド料理とかタイ料理とか香草やスパイスが効いたものは好んで食べません。

 ジョコビッチの本とか、アスリートの食事に関する本は参考にしています。パスタもグルテンフリーを試したりしていますが、絶対にこれでやろう!というものにはまだ出会っていません。今はとにかく、バランスの良いご飯を食べさせることを心がけています。でもガチガチにはしていません。それがストレスになると逆に良くないので、絶対にこうしなければダメというようにはしていません。そうしないと、私自身も続かないですしね。【千歳香奈子】

日比万葉から

 私が幼い頃から食べて育った母の料理が、バイタリティーの源です。母が食事を気をつけてくれたおかげで、プロアスリートになってからも、あまり食生活を変える必要がありませんでした。食べたものが試合中やトレーニング中のエネルギーになるので、食事はとても大切です。食事によって体が軽く感じたり、逆に重く感じたりと、動きや気分にも影響してきます。

 やはり好き嫌いなく、バラエティーのある食事ができることが一番です。大人になってから食生活を変えるのは難しいですから、若いうちから始めた方がいい。バランス良く、おいしく食べるのが一番体にも心にも良いことだと思います。1試合1試合ベストなコンディションで戦えるよう励み、ウインブルドンで優勝するのが将来の夢です。

 ちなみに母の料理で好きなのはから揚げです。大会を終えた時にしか作ってくれませんが(笑)。