初の綱とりに挑む大関豪栄道(30=境川)を「ギョーザ名人」がサポートする。1日、九州場所(13日初日、福岡国際センター)へ向けた稽古を開始。福岡・大野城市の境川部屋には、大手外食チェーン「餃子の王将」で28年勤務中の佐藤典夫さん(58)が出張調理に訪れた。場所終了まで3日に1度のペースでギョーザを振る舞い、食事面から豪栄道の綱とりを後方支援する。
熱気あふれる稽古の終盤だった。初の綱とりに挑む豪栄道が、妙義龍ら関取衆を相手に19戦全勝と好内容の相撲を取り続けた土俵周りに、おいしそうなちゃんこ鍋の香りが漂った。それだけでも食欲をそそるのに、窓の外からはニンニク風味が混じった焼きギョーザの香りも加わった。
「餃子の王将」で28年のプロ、40人前240個
玄関脇で手際よく調理していたのはギョーザ名人の佐藤さん。豪栄道も「王将の人やで」と信頼する調理人だ。国内で700店以上を展開する外食チェーン大手「餃子の王将」に28年勤務する、ギョーザ作りのプロ中のプロ。この日は準備してきた40人前240個を、4人前ずつ小さなフライパンで焼き上げた。
「部屋に高校の後輩力士がいて、2年前から来ています」と佐藤さん。場所終了まで3日に1度のペースで出張調理を行う予定だが、今年はフライパンを持つ手にも力が入る。「先場所は豪栄道関が優勝して、うれしかった。食のサポート? そうなればいいですね」。GOGO ! GOEIDOの文字と大関の似顔絵が描かれたTシャツも着て、後方支援に余念がない。
ギョーザ名人だけではない。まだ番付発表翌日にもかかわらず、境川部屋には青森のりんご、長野の白ねぎ、熊本のみかんなど全国から届く食材が山積み。今後も差し入れが増える見込みで、それも綱を狙う大関への期待の表れだ。
九州場所へ向け、いよいよ本格的な稽古を開始した豪栄道は「始まるなあという感じ。今日は思ったより動けた。(場所)初日に息切れしたら、どうしようもないし考えてやりたい」。周囲の熱い後押しを必ず力にする。【木村有三】
ギョーザにはニンニク、豚肉、ニラ、キャベツなどが含まれる。ニンニクとニラには主に疲労回復と滋養強壮、豚肉は疲労回復と睡眠障害防止、キャベツには免疫力向上の効能がある。「餃子の王将」のギョーザは国民的人気も高く、王将フードサービスのホームページには「1日200万個売れる」と紹介されている。
(2016年11月2日付日刊スポーツ紙面掲載)