東京都八王子市にある中大ラグビー部の寮。年季の入った食堂には「必勝中央」と書かれている横断幕や、「中大の流儀」なるものが飾ってある。「伝統校や留学生擁する強豪校に、臆さず前に出てタックルする」という志も書かれている。

中大ラグビー部の寮
中大ラグビー部の寮

 関東大学リーグ戦に所属する中大は、創部92年の歴史を誇る伝統校。大学選手権にも4季連続出場した実力校だが、決して環境は恵まれているとは言えない。今季から予算の関係で、寮の食事を学生自身が作っている状況だ。

食堂の壁には「必勝中央」の文字が
食堂の壁には「必勝中央」の文字が

 体格差が勝負を左右するラグビー。フィジカル強化のために「食べる量を増やす」ことに決めた。食事は当番制。先輩後輩関係なく、和気あいあいと調理する。食堂長を務めるのはPR三宮累(経済学部4年)。卒業後、NTTコミュニケーションでプレーすることが決まっている三宮は117キロの体格で好きな食べ物は牛丼と、「めっちゃ食べそう」というイメージから、食堂長を任されることになった。

年季は入っているが、きれいに整えられているラグビー部のキッチン
年季は入っているが、きれいに整えられているラグビー部のキッチン

 食事は計7食。朝昼夜3食に加え、手軽に口にすることができるプロテインやバナナ、おにぎりなどを食べて、体重増、筋肉量を増やすことを目標にしている。毎日、全員が体重を測り、一人一人が体を大きくすることを自主管理。「体重が増えすぎると動けない人もいるので、そこは調整ですけど、大体は食べています」と三宮が言うように、食事回数を増やしたことで、入学当初から体重が20キロ増えた選手もいるという。取材した日も、夕食を食べている最中に近所のラーメン屋に行く話をする選手もいるほどだった。

大きな身体を丸めながらタマネギを切るラグビー部の選手
大きな身体を丸めながらタマネギを切るラグビー部の選手

1日計7食、回数増やし体重増

 夕食の仕込みは午後4時前から始まる。頼りになるのは、インターネットなどのレシピ情報と自分たちの腕だけ。

調理器具を持ち、キッチンでポーズを取る中大ラグビー部の選手たち
調理器具を持ち、キッチンでポーズを取る中大ラグビー部の選手たち

 この日のメニューはカレーライス。大量の野菜や豚肉を切るのは、もちろん選手たち。タマネギを切って涙目になりながらも、カレーに入れる前にタマネギを炒めて、甘みを出す一手間も忘れない。

美味しそうに出来上がったカレー
美味しそうに出来上がったカレー

 そんなに辛くはないが、ちょっとしたスパイスがしっかり効いていて食欲をそそられる味わい。中に入っている豚肉がすごく大きいのはラグビー部ならではといったところであろう。大きなお皿に盛られたカレーにメンチカツを大量に乗っけて、それを2、3杯食べるのだから、食事もトレーニングの一環であることが分かる。

この日のメニューはカレーライスとサラダ。カレーの器はかなり大きめ
この日のメニューはカレーライスとサラダ。カレーの器はかなり大きめ

 ラグビー部のサポーターズクラブや保護者、OBなどからはお米などの食材が毎週のように送られてくる。「たくさんの人に援助していただいて、自分たちはラグビーがやれているんだなって実感しますね」(三宮)。今季は大学選手権3回戦で同大に敗れ、念願の正月越えは果たせなかったが、フィジカル強化に向けたラグビー部の挑戦は続いていく。【中大スポーツ新聞部】

管理栄養士・真鍋千絵美のコメント

 日々のトレーニングもこなしながら、自炊もよくがんばっていますね。カレーには定番野菜に加えてキノコ類をプラスするなど具を増やすと、より多くの栄養素がとれます。また、野菜は火を通すと、生よりもたくさん食べられます。時には副菜のサラダを温野菜や煮物にして、ビタミンやミネラルもしっかり補給しましょう。