昨秋ドラフトの隠し玉が、驚異のパワーを証明した。ロッテの新人9選手が20日、都内施設で身体測定を実施。育成2位の菅原祥太外野手(23=日本ウェルネススポーツ大)が、背筋力で歴代新人では過去最高となる704Nm(ニュートンメートル)をたたき出した。専門の筋力測定器に座り、上体をそらしながら、どれだけ力を出せるかを測った。「大学の時からパワーでは負けたことがなかったので、実証できてうれしいです。高校3年から取り組んでいるウエートの成果だと思います」と喜んだ。

新人合同自主トレ初日に臨むロッテ育成の菅原祥太(2017年1月10日)
新人合同自主トレ初日に臨むロッテ育成の菅原祥太(2017年1月10日)

 身体測定は、新人を対象に11年に導入。背筋力の過去最高は、14年井上の695Nmだった。「アジャ」の愛称で知られるパワーヒッターを9Nm上回った。これには、同行した楠トレーニングコーチも驚きを隠さない。「ラグビー選手や、円盤投げ、砲丸投げなどの投てき種目のトップレベルと同じくらいのパワー。今まで見たことがない数値にビックリしています。最高の数値」と目を丸めた。

 菅原は中央球界では無名だったが、ベンチプレス135キロを誇るパワーを評価された。球団内には「ソフトバンク柳田2世」の呼び声もある。力の源は「食」だ。1日5~6食をノルマとし、高校時代の68キロから95キロまで増やした。寮は夜食があるにもかかわらず、「変なタイミングでおなかがすくので」と、入寮時には3合炊きの炊飯器を持参。前日19日も、夜10時に自分で米を炊いて1合を平らげたという。

 「この結果を自信に、キャンプからアピールします」と意気揚々。育成からのサクセスストーリーが始まった。【古川真弥】

◆菅原祥太(すがわら・しょうた) 1993年(平5)9月19日生まれ。東京都出身。駿台学園から日本ウェルネススポーツ大に進学。2年時に投手から外野手に転向した。乃木坂46の大ファンでライブに通うほど。推しメンは若月佑美。50メートル5秒8。183センチ、95キロ。左投げ左打ち。

◆ニュートンメートル(Nm) 内閣が定める計量単位令は「ある定点から1メートル隔たった点にその定点に向かって直角方向に1ニュートンの力を加えたときのその定点のまわりの力のモーメント」と定義。「力(N)×距離(m)」で、どれだけの力(N)を、どれだけの距離(m)出せたかを示す。簡単に言えば、エネルギーの単位。

(2017年1月21日付日刊スポーツ紙面掲載)