真っすぐに磨きをかけて恩返しだ。ヤクルトのドラフト4位、中尾輝投手(22=名古屋経大)が初めてブルペン入りした。捕手を立たせて直球のみで30球。スピンの利いた球を投げ込み「回転だけを意識して、いつも通りに投げられたかなと思います。正直、もっと投げたい気持ちです」と、やる気をみなぎらせた。
武器の直球は、大学時代の2人の“恩師”のおかげで進化した。まずは女手一つで育ててくれた母美恵さん。入学時の体重は62キロ。母が営む居酒屋で「一番好きなのはテールスープ」と肉中心の栄養価の高い食事を作ってもらい、4年間で20キロ増に成功。その土台に技術を乗せた。元近鉄投手の加藤英夫コーチから、リリース時の指先に意識を集中するよう指南された。「増えた体重分、スピードも上がった」と、入部時130キロ台だった直球は、最速151キロまで伸びた。
2月の春季キャンプは1軍スタートが決定。苦手の長距離走は新人7人の中で常に最下位だが「投げることには自信があります」と力強い。目標とする投手はソフトバンク和田。「しなやかに手元で伸びる直球」を理想に掲げる。「お世話になった人たちに感謝を伝えられるように頑張りたい」と誓う左腕。真っすぐで、恩返しのマウンドをつかみ取る。【佐竹実】
(2017年1月23日付日刊スポーツ紙面掲載)