プロ初勝利を挙げ、梨田昌孝監督(右)に祝福される楽天高梨=2017年4月6日
プロ初勝利を挙げ、梨田昌孝監督(右)に祝福される楽天高梨=2017年4月6日

 「デカルト思考」の知性派左腕が、12球団の新人1番星を手にした。楽天ドラフト9位の高梨雄平投手(24=JX―ENEOS)が、1点リードの5回から登板。1イニングを2安打無失点に抑え、プロ3試合目で初勝利を挙げた。哲学者デカルトの書籍を読み、早大時代に投球イップスを克服した経験を持つ。チームの開幕2カード連続の勝ち越しに貢献した。

 手先の器用さも武器だ。楽天高梨は「料理なら任せて下さい」と自慢げに言う。大学時代は友人宅でその腕をふるっていた。得意料理は「鶏肉の大葉とチーズの包み焼き」。全くのオリジナルメニューだという。スーパーなどで食材を物色し、頭の中で献立を考える。「いわゆるレシピとかは見ないですね。自分でゼロから作ることが好き」と女子力はかなり高め。

 昔から「物作り」が好きだった。埼玉・高階西中時代は夏休みの課題研究でジオラマ作りに挑戦した。1つの木材から家や庭の様子を再現。ノコギリで切り取り、ニスで仕上げるなど細かい作業を「楽しいんですよね」と笑顔で振り返った。何かを作りたい―。挑戦する心を持つ高梨だからこそサイドハンドに転身した。まだ完成ではない。オリジナルの「味」がある投法にしてみせる。【栗田尚樹】

(2017年4月7日付日刊スポーツ紙面掲載)