日本サッカー協会理事の北沢豪氏(48)にジュニア選手の食事の重要性と、子どもの頃の食のエピソードを語ってもらいました。

日本の食文化は誇れる長所

 僕が考える「食育」とは、まず「日本の食文化」を知ることだと思います。日本にはお米など優れた食材があり、煮たり焼いたり、さまざまな調理法もあります。これは世界に誇れる長所です。

 さらに、農作物の収穫のスキルも高い。ブラジルや東南アジアでは、日本の技術を学んで取り入れたお陰で、農作物の生育が違ってきたという話を聞きます。日本が指導しているわけで、こちらもうれしいことです。

チビリンピック2017小学生8人制サッカー全国決勝大会で優勝した江南南SCの選手たちと記念撮影する北沢豪氏
チビリンピック2017小学生8人制サッカー全国決勝大会で優勝した江南南SCの選手たちと記念撮影する北沢豪氏

 スポーツを頑張る最近の子どもたちは、食事や栄養について情報を得て、意識して食べているので、体つきがしっかりしています。日本では一般家庭にまで、そういった情報が届くようになっている、素晴らしいことです。実は、文化としてスポーツが根付いている欧州でも、食事についてはそれほどではありません。寮に入っているようなトップ選手は別ですが。

 今では、アンチドーピングの規定も厳しくなり、世界的に食事が見直されています。成果はすぐには表れませんが、食べたもので必ず体が変わってきます。子どもの頃から地道に取り組んでいけば、いずれ日本が世界のトップに立つ日がやってくる、そう思っています。

家族の協力、チームワーク必要

 スポーツをやる以上、ケガはつきものです。しかし、普段からしっかり食事をとって免疫力をつけていれば、回復は格段に早くなります。時間帯としては、特に朝食が大切。「食べて→排便」という習慣を早い時期につけて欲しいですね。また、子どもの食事は1人でできるものではないので家族の協力、チームワークも不可欠です。

チビリンピック2017でコメントする北沢豪氏。右は日刊スポーツの公式キャラクター「ブル男」
チビリンピック2017でコメントする北沢豪氏。右は日刊スポーツの公式キャラクター「ブル男」

 プロになると、食べるものは決まってきてしまいます。大事な試合になればなるほど、「これを食べておけば大丈夫」というもの以外は口にしなくなるので、若いときは色々なものを食べて、何が自分に合っているのか、チャレンジしてみるといいですね。失敗したとしても取り返すチャンスはありますから。

あの頃のスタミナは食事のお陰

 僕は子どもの頃、1度にたくさん食べられなかったので、母が勉強してくれて、1日5~6食に分けて食べていました。現役時代、あのスタミナがあったのは、この食事のお陰だと思います。ただ1度、(修徳)高校時代、(東京都の)選手権決勝の前だったかな。弁当箱を開けたら「カツ丼」が入っていてね。試合前に油物はダメだって知っていたから何だコレ?(笑)と思いましたけど、これにはそういったものが超えたものがあると思ってね、食べましたよ。勝利を願う親の思い、愛情ですよね。