<ヤクルト1-6DeNA>◇10日◇神宮

 DeNA今永昇太投手(23)が粘りの投球で自己最多の9勝目を挙げた。7回4安打1失点と好投し、ルーキーイヤーの昨季の8勝を上回った。今季最多の9奪三振でヤクルト主軸を封じ、自身4連勝をマーク。2ゲーム差で追う2位阪神との本拠地3連戦を前にチームを勢いづけた。

ファンの声援に応えるDeNA今永(撮影・足立雅史)
ファンの声援に応えるDeNA今永(撮影・足立雅史)

 粘りの投球が実ったのは、今永がマウンドを降りてからだった。8回の打席で代打を送られ、代わりに入った田中浩が送りバントをきっちり決めて、1死二、三塁とチャンスを広げた。続く倉本の一ゴロをヤクルト・リベロが失策して、貴重な勝ち越し点が入った。ベンチで見届けた今永がチームトップの9勝目を手にした。「去年を超えられたのは、やってきたことがだんだん実になりつつあるから」と手応えを口にした。

 2回に藤井に適時打を許して先制されたが、徐々に調子を上げた。1-1の5回を3者連続三振に仕留めて勢いに乗った。中軸を迎えた6回は、先頭のバレンティンをフルカウントからスライダーで空振り三振に切って取り、続く山田を中飛、5番リベロを遊ゴロに打ち取った。「無心でサインにうなずいて投げる。淡泊だけどいらない考えは捨てている」。これまでなら頭をよぎっていた嫌なイメージは振り払っていた。

 夏場を迎えた7月17日ヤクルト戦から無傷の4連勝だ。しかも4勝すべてドーム球場ではなく屋外球場で挙げた。蒸し暑い真夏になっても、コンディションを落とさないために、寝る前に納豆ご飯を食べている。「粘りが大事なんです」と必ず100回まぜて粘り気をだすのが今永流。小粒ではなく大粒を選ぶこだわりもある。夏でも練習量を減らさず、体のキレを落とさないためにダッシュは欠かさずやっている。そんな日々の努力が、マウンドでの結果に結びついた。

 これで2位阪神とのゲーム差を2に縮め、今日11日からの本拠地での直接対決に弾みをつけた。「僕自身もチームも、昨年を超えていけると思う。誰も3位は目指していない。まだ優勝がないわけではない。1人でも多くその気持ちを持てるかどうかが大事」。プロ2年目の左腕も、優勝を狙うチームも、昨季までの姿とは違う。【栗田成芳】

(2017年8月11日付日刊スポーツ紙面掲載)