2020年東京五輪の正式種目に選ばれ、注目を集めているスポーツクライミング。日本代表として活躍する小武芽生(めい、20)は現在、女子栄養大短大部に通い栄養学を学んでいる。
北海道出身。クライミングは小学5年生から始めた。13年、15歳の時に全日本クライミング・ユース選手権リード競技大会ユースAで優勝。同年からワールドカップへの挑戦を始め、現在は学業の傍ら世界各国を転戦する。
高校卒業後の進路を考えたとき、栄養学を選んだのには理由がある。
小武 もともと食べることが好きだったので、食べ物がどんな風に体に取り入れられるのかに興味がありました。それに、トレーナーの道を選ぶ人が多かったので、人と違う分野を学びたかったというのもありますね。
高校2年の時、短期留学で10カ月を過ごしたアメリカでの経験も大きかった。
小武 留学中は食事が冷凍食品やファストフードばかりになってしまい、アレルギーの症状がひどくなってしまいました。それもこの道を選んだ理由のひとつです。
入学後は、日々の食事に栄養学が生きる。日ごろは糖質を控えめにして大会3日前から増やすカーボローディングを試したり、タンパク質はさまざまな種類から多めにとるようにしている。疲れがたまっているなと感じる日には、豚肉を食べると回復も早い。食と体がつながっていることを実感する毎日だ。
小武 塩分も気をつけています。壁を登るときはぴったりした靴を履くので、ちょっとでも足がむくむと感覚が変わってしまいます。むくみには塩分が影響していると知り、気をつけるようになりました。野菜をゆで過ぎると水溶性のビタミンの流出が大きいとか、小さな知識も日々の食事に生きています。
普段の昼食は栄養価計算された学食を利用し、家ではカレーをよく食べるという。キャベツなどの野菜や卵もゆでてストックし、こまめに食事に取り入れている。スナック菓子は食べず、補食も手作りの白玉団子などを好む。
小武 中学生の頃、おいしいと思って食べていたスナック菓子が突然おいしく感じられなくなって。不思議に思ってラベルを見ると、添加物がたくさん使われていることがわかりました。それからスナック菓子はほとんど食べなくなり、一時期は白玉団子作りにはまっていました。糖質でエネルギー源にもなるし、余計なものが入っていなくて安心です。
リード種目の17年シーズンは11月に終了。来年はワールドカップと、コンバインド(リード、ボルダリング、スピード3種目の総合年間ランキング)での表彰台を目指す。次の大会は2月のボルダリング・ジャパンカップ。栄養学を武器にトレーニングを積み、ますます大きく羽ばたいていく。
1997年5月18日、北海道生まれ。スポーツクライミング日本代表(ボルダリングA、リードB)。2013年全日本クライミング・ユース選手権リード競技大会ユースA優勝。17年IFSCクライミング・アジア選手権リード3位。女子栄養大短大部2年。154センチ。
高さ12メートル以上の壁をどこまで登ることができるか競う「リード」、高さ5メートル以下の壁に設定された複数のボルダーを、制限時間内にいくつ登れたかを競う「ボルダリング」、高さ15メートルのコースをどれだけ早く登れるか競う「スピード」の3種目がある。20年東京五輪では、3種目を1人の選手が行う複合種目として実施。