「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて4年。アメリカでも寿司やラーメンは日常食となり、枝豆、豆腐、みそなど、さまざまな和食がスーパーマーケットなどで手軽に購入できるようになっています。健康食からお菓子まで、アメリカを席巻する和食の最前線をお届けします。
●みそ汁
いまやレストランで必ずと言っていいほどオーダーする人気メニューの1つ。最近ではインスタントみそ汁もスーパーで購入できるほか、みそそのものも健康に良いとして話題だ。遺伝子組み換えの原料を使わず、酵母や酵素を生かすために加熱処理せずに製造するミヤコ・オリエンタル・フーズのMisoブランド「コールド・マウンテン」は、赤みそと白みそがあり、みそ汁のほか、サラダのドレッシングなど料理にも使われる。
●豆腐
豆腐はかつて「家畜の餌」と言われ、アメリカ人が嫌いな食べ物の1位になったこともあるが、今では健康食として親しまれている。多くの種類が販売されており、しらたきに豆腐を練りこんだ「tofu shirataki(豆腐しらたき)」は低カロリーのダイエット食としても人気だ。みそ汁の具としてはもちろん、サラダのトッピングやフルーツと一緒にミキサーに入れてシェイクにするといった独特の食べ方もされている。
●枝豆
アメリカ人が寿司と一緒に必ず注文するのが枝豆。健康食として認知されており、子どもから大人までを対象とした「大好きな日本食ランキング」でも上位に入っている。冷凍枝豆もスーパーで販売されており、枝豆を使ったスナックも人気。
●寿司
「Sushi」はすでに日常食として定着している。アボカドやカニカマなどを巻いたロサンゼルス発祥のカリフォルニアロールをはじめ、アメリカ生まれの巻き寿司は種類も豊富。スーパーマーケットの総菜コーナーでは、パック入りの寿司も売られている。寿司と、ご飯や肉、豆、野菜などを巻いたメキシコ料理「ブリトー」を合体させた「寿司ブリトー」といった新しいフードも生まれている。
●ラーメン
ロサンゼルスやニューヨークなどの大都会には、日本の有名店も続々と進出。アメリカ人も、こってりとした豚骨系やつけ麺が好きなようだ。麺を固めてバンズにした「ラーメンバーガー」といったファストフードも表れ、インスタントラーメンやカップヌードルの人気も上昇中。
●うどん
昨秋、ロサンゼルスに丸亀製麺が米初上陸。連日行列ができる大人気で、ラーメンブームの次はうどんがきそうな予感。釜揚げなどの定番よりも、「とんこつうどん」などこってりとしたクリーム系が好まれている。
●ヘルシースナック
かつては「黒くて気持ち悪い」と言われた海苔は、今はすっかり健康食として認知された。巻き寿司以外では、ワサビやテリヤキなどの味が付いたものがスナックとして食べられている。ふりかけを混ぜたポップコーンも登場。
●お菓子
2003年に現地販売法人を設立した江崎グリコのポッキーは、アメリカ人も大好き。チョコレートやストロベリーといった定番以外に抹茶、クッキー&オレオなどのフレーバーがある。日本では1987年に販売されるも人気今一つで姿を消した明治の「こんにちはパンダ」は、「Hello Panda」の名でアメリカで生き残り、昨夏、コストコの店頭に並んで再び話題沸騰。森永製菓のハイチュウは、ガムでもキャラメルでもないその独特の食感が大リーガーにうけ、「Hi-Chew」の名前で売り上げを伸ばしている。
●ドリンク
世界30カ国以上に輸出されているカルピスは、アメリカでは「CALPICO(カルピコ)」の名前で87年から販売。英語でカルピスを発音すると、「COW PISS(カウピス=牛のおしっこ)」と聞こえてしまうことからその名がついたと言われており、オリジナル味のほか、マンゴーやストロベリー味などがある。乳酸菌飲料のヤクルトも、健康飲料として数年前からロサンゼルス近郊の工場で生産されている。
●お茶
スーパーマーケットのお茶売り場には、「Green Tea」と名のついたティーバッグがたくさん並んでおり、緑茶に甘味料を加えたものや、ピーチ、ジンジャー、ミントなどのフレーバー入りなど日本では見かけないものも多い。スーパーフードとして注目された抹茶抹茶入りのペットボトル茶や抹茶ラテも人気。
【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】