ウインターカップ全国高校バスケットボール選手権大会(日刊スポーツ新聞社主催)が23日、東京体育館で開幕する。11年ぶり7度目の出場となる男子の飛龍(静岡)は25日の2回戦から登場する。
全国的に見れば、決して大きな選手はいない。8月の全国総体で8強入りした中で、最も平均身長が低かった。しかし、準々決勝では準優勝した明成(宮城)に一時2点差まで詰め寄るなど、粘り強さも発揮。日頃から白米でエネルギーを蓄え、しっかりと練習を積み、強さを手に入れている。
飛龍では、補食で「白米」をよく摂取する。
●朝食を食べ、朝練を終えた直後におにぎりを食べる。
●昼食では、体重が軽く増量が必要な選手は大きなプラスチック容器を用意し、白米を敷き詰めて食べきる。
●放課後の練習後にもおにぎりを摂取。
●寮生は夕飯後にさらにもう1食、部内で「9時飯」と呼ばれるお茶漬けなどで、白米を腹に入れる。
筋肉に蓄えられる糖の一種で、筋肉の収縮のためのエネルギー源となる筋グリコーゲンが枯渇すると、体のタンパク質や脂肪を分解してエネルギーとして使ってしまう。効率よく筋力アップし、本来の実力を発揮するには、タンパク質とともに糖質が必要。そのため飛龍では、体内で糖に変わりやすく、手軽な白米をたくさん食べている。
PG牛島はケガにも強く
この3年間で、最も体を大きくさせたのはPG牛島宗揮(3年)だ。チームの体重の目安は「身長-100」だが、入学時の牛島は160センチ、47キロと、目標体重に13キロ足りなかった。
中学時代はスピード自慢の選手だった。
しかし2年生の春、体重が増えるにつれて俊敏さが失われたように感じ、60キロに達したときに食事量を抑えた。コーチから「上で通用する選手になるためには体が必要だ」と説得され、自分のプレースタイルとの葛藤もあったが、再び食事量を増やした。現在は168センチ、67キロと立派な体を作り上げた。
牛島は「押し負けなくなったのはもちろん。以前は簡単に弾き飛ばされて足首の捻挫が絶えなかったが、今はそれがなくなった」とケガ予防にもつながったと話す。
原田裕作監督(34)は「中学でドリブルで簡単に抜けてた選手が、高校で抜けなくなったのは体重増のせいではない。高校にもなれば、守る側もスピードについていける。その上でトレーニングをすれば、むしろ速くなる」と食事とトレーニングの重要性を語る。
全国総体ではベンチ外となり、苦杯をなめた牛島だが、ウインターカップ静岡県大会ではスタメンに返り咲いた。その後の試合でリバウンドした際、左手薬指を骨折。全国大会でのスタメン出場とはならないが、気持ちは切れていない。牛島は「得意の3点シュートを積極的に狙い、誰よりもハードワークして勝利に貢献したい」と目標の4強入りに意欲を見せていた。【大野祥一】