日テレ・メニーナは、なでしこジャパンにも多くの選手を送り出している女子サッカーチーム、日テレ・ベレーザの下部組織だ。厳しいセレクションを勝ち抜いた中学1年生から高校3年生までの25人が在籍し、年代別日本代表にも多数選出されている。
日テレ・メニーナを食の側面から支えているのが、駒沢女大健康栄養学科だ。7年前から連携し、サポートを受けている。
スタート時から昨年までは、年に1~2度の体組成測定と栄養に関する講習会を受けていた。しかし、選手たちの年代は大きく体が変わる時期。栄養状態の変化によってどのくらいプレーに影響するのかを詳しく調べるため、平成29年度から測定回数を増加。細かくデータを取りながら食事の影響を見る、具体的な検証をスタートさせた。
骨量は数値だけでなく代謝も
12月の測定日。この日は合宿や学校のある選手を除く16人が集まり、専用機器を用いた体組成の測定、貧血検査、骨量測定、採血を行った。
血液検査まで行うのはどうしてか。当日の検査を取り仕切る、健康栄養学科の曽我部夏子准教授に聞いた。
「運動量の多い中高生世代なので、かかとの骨量は高い選手がほとんどです。しかし、骨量の高さと骨代謝が順調に行われているかどうかは別。血液を調べることで、代謝についても把握することができます。代謝が順調に行われていなかったり、骨量が低い選手は、食事を変えることでどの程度改善していくのかも、これからデータを取ってしっかり観察していきます」
ひととおり測定が終わると、食事の聞き取り調査だ。選手たちは、測定日前3日分の食事記録をつけ、写真とともに提出している。しかし、在籍する学校により昼食が給食の場合、写真が撮れなかったり、量があいまいになってしまうことも。より事実に基づいた栄養価を算出するため、フードモデルを活用しながら正確な分量を聞き取っていた。
検査当日は昼食を提供
検査日の楽しみとなっているのが昼食だ。採血があるため、朝食をとらずに集まる選手たちに、毎回大学の学生たちが昼食を用意している。中高生の女子アスリート向けに、献立作成から調理、盛りつけまですべてを学生が担当。食べている間には簡単に、献立のポイントや気をつけて摂りたい食品などを説明する。
この日のメニューは、ベレーザ選手にも以前提供したという白身魚のから揚げ野菜あんかけをメインに、鶏レバーの生春巻き、カボチャのそぼろ煮、雑穀ご飯、イチゴ、ほうじ茶プリンの計6品。
生春巻きには、レバーペーストが使われている。激しい運動を日常的に行う女子選手たちは、貧血になりやすい。動物性の鉄が多く摂れるレバーだが、苦手という人も多いため、どうしたら食べやすくなるかと工夫し考案したレシピだという。
気に入った料理の作り方を学生に質問する選手も。学生とのやり取りを通じて、食への意識が高まっていそうだ。
練習後には夕食をとって帰宅
クラブでは何か食事に関する取り組みは行っているか、寺谷真弓監督に聞いた。
「放課後の練習は終了が午後7時を回ります。効率的な身体作りと疲労回復のため、選手たちにはクラブハウスで夕食をとらせてから帰宅させています。おかず2~3品に汁物、季節の果物といった内容で、ご飯は各自で好きな量を盛らせています」
今回の測定と栄養価計算の結果は、2月上旬にフィードバックが行われる予定。未来の日本女子サッカー界を担う中高生選手たちは、サッカーの技術面向上と食事の両輪を充実させ、さらに大きく飛躍していくことだろう。これからの活躍が楽しみだ。【アスレシピ編集部】