個食がメダル量産のかぎ! 日本オリンピック委員会(JOC)が、平昌オリンピックに出場する日本選手に向けて和軽食を提供する施設「Gロードステーション」が6日、報道陣に公開された。同施設は味の素の運営で16年リオ五輪からスタートし、冬季五輪では初。五輪班キャップの益田一弘記者が日本の“秘密基地”に潜入。リオから進化した施設で目撃したのは、華やかな舞台とは対照的な「おひとり様席」だった。
「集中したい」希望に応え
あまりにも刺激的だ。スケートなどが行われる江陵の選手村から徒歩圏内、冬季初の「Gロードステーション」が設置された。その中に「個食部屋」と名付けられた静かな部屋があった。
ついたてを左右に配した机と椅子が並ぶ。「おひとり様席」が5席。1人席の人気ラーメン店「一蘭」をほうふつさせるスタイル。オリンピアンが壁に向かって黙々とご飯を頬張る。スポーツの祭典とは懸け離れた風景が頭に浮かんだ。
味の素担当者が「個食部屋」の理由を説明した。
「リオ五輪はテーブルをくっつけた食堂スタイルでした。わいわい食べたり、他競技の選手と交流するのはいいことですが『試合前で集中したい』という意見もあった。1人で来て、1人で食べる選手もいた」。
同施設は、白米、だし炊きご飯、鍋物から低カロリーデザートまで選手の心と体を癒やす。だが競技前と後では選手の心境も違う。
一般的にアスリートは「元気」「明るい」「積極的」などのイメージがあるが、五輪選手も人間だ。「1人が好き」「しゃべるのが苦手」「人見知り」という選手がいるのも当然。「勝負めしに鍋物が食べたいけど、1人はなあ…」と二の足を踏んでいた選手の活躍を引き出すかもしれない。
最近は大学の学食にも壁と向き合う「おひとり様席」がある。誰もいない大浴場に気持ちよく入っていたら、3~4人の集団が来て、肩身が狭い思いをしたことはないだろうか。誰もいないと思って1人で食事を楽しんでいたら、メダルを獲得した団体競技の選手がハイテンションで入ってきて…。後から来た集団が悪いわけではないが、記者が同施設を使えるなら確実に「個食部屋」に直行する。
JOCと味の素が五輪期間中に簡単な和食を選手らに提供するサポート施設。夏季過去最多41メダルだったリオ五輪で設置され、JOC山下泰裕選手強化本部長が「躍進の原動力の1つ」と高く評価した。平昌ではスケートなど氷側の江陵、スノーボードなど山側のフェニックスパークの2カ所に設置。ちなみに山側の施設には個食部屋はない。