14日のバレンタインデーに向け、商戦が本格化している。味だけでなく、最近は見た目のインパクトが強いチョコレートも増えているが、今年は、昨年の流行語になった「インスタ映え」を意識してか、売り場全体のインスタ映えにもこだわった店舗が多い。チョコを背景にしたフォトスポット、スイーツが回転ずし風に回るアイデアも登場した。
昨年6月のオープン以来、初のバレンタイン商戦参戦となる銀座ロフト(東京都中央区)。エレベーターを4階まで上がると、回転ずし店で目にする、ぐるぐる回るベルトコンベヤーが目に飛び込んでくる。お皿にのって回っているのは、もちろんすしではなく、さまざまなスイーツや、バレンタイン関連グッズだ。全長30メートルのベルトコンベヤーの上をぐるぐる回る、「SWEETY LOFT」が展開されている。
動く商品を楽しむ
回転ずしのべルトコンベヤーを製造するメーカーに特注した。担当者は「インスタ映えがブームになっていますが、(回転スイーツは)“動画映え”です。動く商品も楽しみながら選んでいただきたい」と話す。店側の狙いは当たり、外国人を中心に携帯電話で撮影する買い物客は多い。回るのは、厳選カカオを使ったオリジナルスイーツやジャム、ネーミングなどがクスっと笑えるジョークチョコなど、種類はさまざま。回転スイーツで興味を引いた後は、背後の陳列棚でじっくり商品を品定めできる。
この試みは、バレンタイン終了後の今月25日まで開催している。期間中の土曜日には、アマゾンカカオを使ったゴーフルをつくる実演販売も実施。バレンタインのチョコは今や、インターネットでも簡単に注文できるが、「売り場に来て買い物を楽しんでいただきたい」という、店側の思いも込められている。
チョコ部屋で自撮り
売り場に足を運んでほしい-。そんな店側の思いは、松屋銀座(同)でも感じられた。同店8階の「GINZA バレンタインアベニュー」には、一風変わったフォトスポットがお目見えした。
壁一面をチョコレートに見立てた「チョコ部屋」(約36平方メートル)で、購入した商品を食べられるイートインスペースで利用できるほか、板チョコと同じように、凹凸がリアルに浮き出した壁をバックに、自撮りを楽しむ客も多い。ARアプリ「COCOAR(ココアル)」をスマホにダウンロードしてかざせば、画面にたくさんのハートが飛び出す仕掛けも。SNS拡散を意識してのものだ。
夏ごろから準備
今回のような企画は同店でも初めての試み。昨年夏ごろから準備を進めた。広報担当者は「バレンタイン期間中は、普段お店にいらっしゃる機会が少ない方にも、足を運んでいただける最大のチャンス。フォトジェニックなスポットで、インスタ映えを楽しんでいただければ」と話す。
三越日本橋本店(同)でも、「第一園芸」とのコラボレーションで、三越の「象徴」でもあるライオン像が、初めてバレンタイン仕様に装飾された。「インスタ映え」は流行語の枠を超え、一般の人が普通に楽しむ行為として広がっている。1年に1度のバレンタイン商戦。その流れに乗らない手はない、ということかもしれない。【中山知子】
(2018年2月11日付日刊スポーツ紙面掲載)