美帆ちゃん、すごい! 21日、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)スピードスケート女子団体追い抜きで金メダルを獲得し、1500メートル、1000メートルと合わせ「金銀銅」3つのメダル獲得を決めた高木美帆(23=日体大助手)を、学生時代から行きつけの洋食店のシェフも祝福した。横浜市青葉区の「にんにく屋嘉六」店主、中村嘉一郎さん(73)は「スピードスケートで3つもメダルをとるなんて」と快挙に感激。帰国したら、高木がいつも注文する「手造りハンバーグ」を、腕によりを掛けてごちそうするつもりだ。
店を早仕舞いし、自宅のテレビで応援した中村さんは「鳥肌が立った。スピードスケートでこんなに感動したのは初めてだ。オランダ相手に最後の2周で1秒58差。金メダルだもん。頑張った。これは日本のお家芸になるね」。個人で2種目のメダルを獲得した疲れも、エースとしての重圧も乗り越えてチームを引っ張った高木の頑張りに「本当に感動させてもらった。ありがとう。ありがとう」と感謝の言葉が続いた。
数多くの金メダリストを送り出してきた日体大健志台キャンパスに近い洋食店「にんにく屋嘉六」には、同大でさまざまな競技に取り組む選手たちが通う。中でも、高木は印象深い選手の1人という。
初来店時は気付かず
13年4月、日体大に入学したばかりの高木が友人と2人で来店した時、中村さんは「気付かなかったんだ」と照れ笑いする。選手は雰囲気で分かるといい「競技は何やってるの」と聞くと「スケートです」。スポーツ好きの中村さんは、10年バンクーバー五輪に15歳で出場し、日体大入りした高木に期待しており「高木美帆っているでしょ?」。すると、1人が笑顔で「それ、私です」とはにかんだという。
以来、高木は1人でしばしば来店するようになった。「初めて来た時から決まって『手造りハンバーグ』。いつも、ご飯粒1つ残さず、きれいに食べる。偉ぶらず、飾り気がなくて、落ち着いていて。性格はもう、最高だね」。日体大を卒業し、同大助手として辞令を受ける2日前の昨年3月30日にも来店した。記念写真を頼むと「俺、背が低いんだけど、並んだ美帆ちゃんがちょっとひざを曲げるんだよ。そういうことが自然にできる優しい子」。高木との写真は宝物だ。
勝つために食事も徹底的に管理してきたエースに「帰国したら大きなハンバーグをごちそうしてあげたい」。中村さんが言うと、妻恵子さん(69)は「デザートもつけちゃう!」。外はかりっと焼き目がついて、中は柔らかくジューシーないつものハンバーグで迎えるつもりだ。【清水優】
(2018年2月22日付日刊スポーツ紙面掲載)