東日本大震災は11日、発生から7年を迎えた。 

 今年7月に一部再開するJヴィレッジ(JV)の元総料理長でサッカー日本代表の専属シェフ西芳照氏(56)は、原発事故対応の拠点となったJVの隣接施設で営業してきた「広野町レストラン アルパインローズ」を先月末に閉店し、片付けに追われている。

11年11月にJヴィレッジの隣の施設で開店した「広野町レストラン アルパインローズ」のシェフの西芳照氏。今年、新たな挑戦を始める(撮影・清水優)
11年11月にJヴィレッジの隣の施設で開店した「広野町レストラン アルパインローズ」のシェフの西芳照氏。今年、新たな挑戦を始める(撮影・清水優)

 事故後、東京の職場を紹介されたが、包丁を取りに戻ったJVで、廊下に敷いた段ボールで仮眠する消防士たちを目の当たりにした。「この人たちが日本を死ぬ覚悟で救ってくれている」。帰郷を決め、11年9月にJV内の食堂「ハーフタイム」、同年11月に「アルパインローズ」を開店。日本代表を支えるシェフの腕で、作業員たちのおなかを満たしてきた。

 しかし、作業拠点が徐々に大熊町や富岡町に移り、客が減少。ハーフタイムを16年に、アルパインローズも閉店した。人不足で従業員確保が難しかったのも一因だ。JV内の本家「アルパインローズ」と「ハーフタイム」は今後、別の委託会社が運営。西氏はメニュー監修に携わるという。

 16年3月に広野町で開いた店「くっちぃーな」では、今後も腕を振るう。さらに、別の新規事業も、すでに頭にあるという。「食がスポーツに貢献できるか、科学的なメスを入れながら、新たな挑戦を始めます」。JVが一部再開する今年、西氏も再スタートを切る。

(2018年3月12日付日刊スポーツ紙面掲載)