ブームでは終わらせない―。全農カーリング日本混合ダブルス選手権が今日14日、青森・みちぎんドリームスタジアムで開幕する。平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)女子銅メダルを獲得したLS北見の藤沢五月(26)ら3選手が同男子8位のSC軽井沢クラブの選手とペアで出場。13日、青森市内での会見に出席し、話題の「もぐもぐタイム」を披露。大会を通して競技普及にひと役買う。

前日会見で提供されたいちごを手に笑顔を見せる、前列左から藤沢五月、吉田知那美、吉田夕梨花、後列左から山口剛史、清水徹郎、両角友佑(撮影・河野匠)
前日会見で提供されたいちごを手に笑顔を見せる、前列左から藤沢五月、吉田知那美、吉田夕梨花、後列左から山口剛史、清水徹郎、両角友佑(撮影・河野匠)

ダブルスでも“もぐもぐ”

 真っ赤ないちごを藤沢が口いっぱいに頬張った。その瞬間、無数のフラッシュを浴びる。「おいしい~」。会見後、大会PRのために「もぐもぐタイム」を披露した。ペアを組むSC軽井沢の山口が何個も食べるとみんなで大爆笑。LS北見のチームカラーでもある「スマイル」を連発した。男女ペアで争い、4人制とは違う競技方法で行われるが、醸し出す雰囲気は同じだった。

前日会見で提供されたいちごを頰張る藤沢(撮影・河野匠)
前日会見で提供されたいちごを頰張る藤沢(撮影・河野匠)

 大会でも第4エンド終了後、ハーフタイムがある。藤沢は「全農さんの果物をたくさんいただきます。日本のおいしいいちごを食べられるのはすごいパワーをもらえる」と歓迎した。

「試合中のもぐもぐタイムでは提供された果物をいただきます」と笑顔で宣言した藤沢(撮影・河野匠)
「試合中のもぐもぐタイムでは提供された果物をいただきます」と笑顔で宣言した藤沢(撮影・河野匠)

五輪メダル、普及のきっかけに

 強い思いがある。平昌五輪で日本カーリング史上初となる銅メダルを獲得した。試合中に口にする「そだね~」などが話題になったが、一過性のもので終わらせるつもりはない。ここまでマイナースポーツゆえ、競技を続ける環境がなく辞めていった仲間を何人も見てきた。自身も競技を続ける苦労を重ねてきただけに、普及に向けアピールしていく。「2人でもできる種目。やりたいと思ってくれるきっかけになってくれれば」と思いを伝えた。

 決勝トーナメントに進めば、チームメートの吉田姉妹らとの対戦も実現する。藤沢は山口とともに8日から5日間、長野・軽井沢で合宿を行い、強化を進めてきた。「(対戦は)新鮮で楽しみ。でもいつも通り自分たちのカーリングに集中したい」と本気モードだ。

チケットは完売

 態勢も整いつつある。LS北見が、マネジメント会社「スポーツビズ」と契約することが分かった。同社は世界で活躍する多くの選手をマネジメントしており、競技環境や普及活動の幅が広がる可能性がある。

 まずは今大会、例年なら観客は数十人。ところが、今回は11大会目で初めて有料になったが、各日250枚のチケットが完売した。注目される中、五輪を経験したトップカーラーが、4人制とは異なる魅力を発信していく。【松末守司】

カーリング混合ダブルス

 男女別に1チーム4人で争う従来種目と異なり、男女1人ずつのペア同士で対戦する平昌五輪初採用の種目。

日本混合ダブルス選手権

 21チームが参加し、1次リーグ(14~17日)はA、B、Cの3組(各組7チーム)に分かれリーグ戦を行う。各組1位の3チームはそのまま決勝トーナメント(18日)へ進出。各組2位チームのうち、試合前に先攻後攻を決めるショットから算出するドローショットチャレンジ(DSC)の1位、2位のチームでプレーオフ(17日)を行い、勝ったチームが決勝トーナメント。決勝トーナメントは4チームで争う。LS北見の3人のチームは日本カーリング協会の推薦枠で出場。1次リーグは各組に分かれており、直接対決は決勝トーナメント進出後になる。優勝チームは、4月21日開幕の世界選手権(スウェーデン)の参加資格を得る。

(2018年3月14日付日刊スポーツ紙面掲載)