男子プロバスケットボールBリーグ、サンロッカーズ渋谷のパワーフォワード満原優樹(28)は今季、新境地で戦いに挑んでいる。
198センチの長身と体の強さを生かし、3ポイントから肉弾戦まで幅広いプレーができる満原は、今年度の日本代表候補に選出。昨季終了後のオフ、自ら課した“重大なミッション”に成功してプレーの幅を広げた。ミッションとは「減量」だ。
チームが新ヘッドコーチに勝久ジェフリー氏を迎え、より速い展開のバスケットをテーマに掲げたことで、ウエートダウンを決意。「昨シーズンは思うような結果を出せなかったし、チームのテーマに合った、走れる体を作ろう」。
昨季の登録体重は110キロ。オフに入って1カ月ほどは全く体を動かさなかったため、119キロまで増えていた。そこから約3カ月間をかけて13キロ減量し、現在は106キロ前後をキープしているという。
甘いジュースや油もの控える
満原が実践したのは、糖質と脂質の見直し。必要以上の摂取をやめたことだ。
満原 ジュースや缶コーヒーには砂糖がとてもたくさん入っているので、飲むのをやめて水とお茶だけにしました。油ものを控えて、食事の際には、まず野菜から先に食べるようにしました。
食事の量自体は変えていない。もちろん朝昼夕の3食もしっかりと食べる。満原は「無理なことはしていない」と話すが、これだけの食事改善で体重が10キロも落とせるものなのだろうか? よくよく話を聞いてみると、食べる時間にも工夫があった。
満原 夕食をできるだけ午後7時までに食べ終えるようにしています。寝るのは0時前後で、夕食後は水とお茶しかとりません。最初はおなかが空きましたが、だんだん慣れてきて大丈夫になりましたね。
糖質と脂質過多の生活をやめ、食事の時間を変えて以来、体重は順調に落ちていった。ある時期を越えるとあまり落ちなくなっていったが、「焦らず続けていると、また減っていきました。続けることの大切さを実感しました」。体重を絞ったことで、スピーディーな展開にも難なくついていけるようになり、故障も減った。
2017-18シーズンも終盤にさしかかってきた。チームは東地区5位(14日現在)。激戦区の東地区では4位から6位までの勝率は僅差で、プレーオフ進出に向けて気の抜けない戦いが続く。
「60試合という長いシーズンを戦い抜き、試合で結果を残さなければ、減量はただの自己満足になってしまう」。満原の真価が問われるのは、ここからだ。【青木美帆】
◆満原優樹(みつはら・ゆうき) 1989年12月27日生まれ、神奈川県出身。東海大相模中で全国3位、能代工(秋田)3年時には高校総体で優勝。東海大を経て日立(現SR渋谷)に入団。実家は横浜市で洋食店を経営しており、恵まれた食環境で育ったと振り返る。子どもたちには「食べられない選手は強くなれない」と強調。ポジションはパワーフォワード。