J2ジェフユナイテッド千葉は23日、トップチームの食事に支援・協力する新たなスポンサーのカテゴリーとして「オフィシャルフードパートナー」を新設し、三井製糖とヤクルトがスポンサーになったと発表した。その裏で、就任2年目のファン・エスナイデル監督(45)が推し進める、食改革の第2弾が進行していた。
千葉は17年に就任したエスナイデル監督が、朝から選手全員で朝食を食べたり、白米や脂身の多い肉はNGで、主食は玄米、おかずは塩こしょうの味付けが中心で、ドレッシングもノンオイルのものにするなど食事からチームの大改革に着手。アウェー戦の際も、宿泊先のホテルにまでメニューを徹底させた。その結果、体脂肪率が12%以上の選手が、開幕時点で19人だったのが秋口には1人にまで減少。選手は終盤戦も体の切れや走力が落ちず、クラブ史上初の7連勝でJ1昇格プレーオフに滑り込んだ。
チームが戦う裏で、17年夏にクラブ側が三井製糖とスポンサー契約の話を進める中で、三井製糖側がクラブの食事改革に強い関心を示し、共感し、同社が1984年に初めて商品化した「パラチノース」を紹介した。パラチノースは、天然ではハチミツに含まれる糖質で、砂糖と同じ1グラムあたり4キロカロリーながら、小腸での分解速度が砂糖に比べて約5分の1と遅く、ゆっくり消化吸収される「スローカロリー」のため、体に負担をかけにくい特性がある。そのパラチノースを、チームの食改革に生かせないかとクラブ側に提案したという。
エスナイデル監督も、体作りのために糖分は必要である一方、摂取の仕方が問題だと考えており、自らが現役時代から信頼する母国アルゼンチン在住の専門家に問い合わせたところ、前向きな回答があったため、パラチノースを食事に取り入れることを決めた。具体的には、ヤクルトが製造、販売するパラチノースを使ったはっ酵乳飲料「ミルミル」を、1月16日から実施した沖縄キャンプから、朝の食事に取り入れた。トップチームだけでなく、下部組織の選手たちも、ミルミルを飲んでいるという。
エスナイデル監督は開幕前の2月23日の囲み取材の中で、食事改革の現状を聞かれた際「また食事のことを話すんですか? 1年、ずっと話してきた。その話は、終わったことだと思った。去年から、良い状態で続けられている。今までうまく続いたものを、変える必要はない。新戦力も、順応して良い状態でいる」などと答えた。改革路線を継続し、クラブの常識とした中で、さらなる進化のエッセンスを加えていた格好だ。
千葉は今季、開幕から2選手が退場し、エスナイデル監督自身も退席処分を食らい、開幕から4戦連続でフルメンバーがそろわない異常事態が続いた。21日の第5節カマタマーレ讃岐戦に6-1で大勝し、今季初勝利を挙げるも、現在16位と出遅れている。その中、発表された「オフィシャルフードパートナー」新設と、それに伴う食改革の進化の発揮に期待がかかる。【村上幸将】
(2018年3月23日、ニッカンスポーツ・コム掲載)