<巨人3-2阪神>◇1日◇東京ドーム

 胸の高鳴りを隠しきれなかった。巨人野上亮磨投手がFA移籍後公式戦初登板で初勝利を挙げた。お立ち台で開口一番「最高です!」と叫び「緊張した。勝ち越して降りられたので良かった」。背番号入りのジャビット人形を手に、巨人の一員としての喜びをかみしめた。

FA移籍後公式戦初登板初勝利

 平常心を保とうと策を尽くした。ファンの熱狂が渦巻く東京ドームのマウンドに立つと「独特の雰囲気だな。これが伝統の一戦か」と緊張は頂点に。初回2死一、二塁、阪神福留をチェンジアップで空振り三振に切った。「大城が強気にサインを出してくれた。感謝しかない」。多彩な変化球で的を絞らせなかった。

巨人対阪神 移籍後初勝利の巨人野上(右から3人目)は斎藤投手コーチ(右から2人目)に肩をもまれ笑顔(撮影・鈴木みどり)
巨人対阪神 移籍後初勝利の巨人野上(右から3人目)は斎藤投手コーチ(右から2人目)に肩をもまれ笑顔(撮影・鈴木みどり)

 自己流のルーティンがある。登板日の朝食は6年前から納豆。この日も卵の黄身とネギを混ぜ、1パックをかき込んだ。初回のマウンドに上がる際、右足から左右3回ずつ、爪先で地面をたたき、バックスクリーン上の国旗を見つめ、心を落ち着かせる。「やらないと気持ちが悪い」。2発を食らったが、5回2/3を2失点。納豆ばりの粘りで「精神的にどっと疲れが来た」と重圧も乗り越えた。

 4月に出産予定で元モーニング娘。の妻石川梨華(33)は熱狂的虎党で知られる。入団会見で「阪神ファンですが、結婚して僕の考えについてきてくれると言うので特に阪神戦は頑張りたい」と話した。この日は「喜んでくれると思う。でも、そういう話はいいんじゃないですかね」と一線を引いた。「今日の試合に登板させてもらえるまでに関わってくれた人たちへ感謝したい」。恩はこれから積み重ねる白星で返していく。【桑原幹久】

(2018年4月2日付日刊スポーツ紙面掲載)