なでしこジャパンが2連覇を目指す女子アジア杯がいよいよ6日に開幕を迎え、日本は7日に1次リーグ初戦のベトナム戦に臨む。GK池田咲紀子(25)は現役OLと日本の守護神という2つの顔を持つ。

 高倉麻子監督体制の代表戦全23試合で、池田はGK最多の11試合に出場。1日に行ったアジア杯直前の親善試合ガーナ戦も先発するなど、大会本番の守護神としての期待がかかる。普段は所属する浦和レッズレディースのスポンサーでもあるハウスメーカーに勤務しており、現役OLとしての一面もあわせ持つ。

GK池田咲紀子(2017年12月15日撮影)
GK池田咲紀子(2017年12月15日撮影)

 1日の始まりは、弁当作りから。午前9時の始業に合わせ、朝7時には起床。炭水化物やビタミンなどの栄養バランスを考え、主食、副菜を組み合わせる。「会社の人とご飯に行く時以外は(弁当を)作っています。選手として考えている部分もありますし、もう25歳なので」と笑う。

 午後3時までリース車の管理や事務などの業務をこなし、午後5時からクラブの練習へ。練習後のケアなども欠かさず、就寝は午前0時ごろになるという。

 もともとはフィールドプレーヤーだった。小学2年でサッカーをはじめ、高学年ではボランチなどをこなしていた。「どっちかっていうと、動き回ってというよりかは、ボールをもらってサイドに散らすのが好きだった」。転機が訪れたのは、浦和レッズレディースのジュニアユースに所属していた中学2年の時。「U-15(15歳以下)の全国大会前に主力の先輩がけがをしてしまった。あとは入りたての中学1年生のGKしかいなくて。誰かGKをやるぞってなって、いろんな選手が試した結果、私になりました。それが最初だった」。

 そこからGKとしての才能が開花し、わずか2年後の高校1年時には同学年のFW岩渕真奈らと共にニュージーランドで開催されたU-17W杯に出場した。「もともとGKをやりたくてなったわけではなかったので、最初の方はあまりやりたくなかった。でも、クラブの先輩GKたちと一緒に練習するときに、この中途半端な気持ちでとか、やる気がないような姿でここにいてはいけないなってすごく感じました。自分がやったからこそ、GKのすごさも分かった。この先輩たちを超えていきたいって思った時に、GKとしてやっていく覚悟が芽生えたというか、そこからは吹っ切れたようにしっかりやり始めました」。

 高倉監督体制の初陣となった16年6月の米国遠征でA代表に初招集された。監督からは攻撃の起点になることを求められている。「フィールドの選手プラスGKじゃなくて、11人でっていうのは常に言われているので、そこは自分でも意識しています」。

 大一番となるアジア杯へ向け、自然と気持ちも高まっている。「チームを勝たせられるプレーをしたい。GKは最後のとりでと言われるくらいワンプレーが試合の結果を左右する。勝つためにということを意識して、悪い流れを変えられるプレーも必要ですけど、変えるというよりは、そういうふうに持っていけるプレーをできればいいかなと思います」。ピッチの上でもしっかり働き、なでしこをアジアの頂点へと導く。【松尾幸之介】

 ◆池田咲紀子(いけだ・さきこ) 1992年(平4)9月8日、埼玉県出身。小学生の頃に同級生の姉に誘われサッカーを始める。中学から浦和レッズレディースの下部組織に所属し、中学3年だった07年にトップチームに登録され、デビューを果たす。08年にU-17W杯、12年にU-20W杯に出場。日体大卒。168センチ。60キロ。

 ◆AFC女子アジア杯 1次リーグは8チームが2組に分かれて争われる。各組2位以内に入って準決勝に進むか、各組3位による5位決定戦に勝つと19年W杯フランス大会の出場権を獲得する。2連覇を狙うB組の日本は7日にベトナム、10日に韓国、13日にオーストラリアと対戦する。試合は全てテレビ朝日系列で生中継予定で、ベトナム戦は午後10時30分(日本時間)から放送。

(2018年4月4日、ニッカンスポーツ・コム掲載)