食の改善を続けて3年目となる早大ラグビー部。選手は食事への意識を高めるとともに、毎日体重、体脂肪率などを計測している。これらのデータを基に、ポジションごとにどういう体作りをしていくか、管理栄養士・島寿子さんら栄養部門とコーチ陣が協議。選手ごとに個別の目標数値を与え、指導している。
食堂には、選手の体組成データの1週間平均値が張り出され、目標数値のほかエネルギー摂取量なども明示されている。島さんは、チームにスケジュール変更があれば、献立を調整。選手の日々の食事状況を見ながら声をかけたり、相談にのったりしている。
かつて、選手の体重チェックは月1回程度だった。計測日の前日に暴飲暴食をして数字を合わせていた選手もいたというから、大きな進歩だ。始めた当初は毎日の計測や報告を怠ったり、なぜ必要かの理解度が低い選手もいたりしたが、「今はほとんどいないですね」(島さん)。自己管理、食事管理はアスリートとして、当たり前のことになった。
9連覇中の帝京大を意識
全国大学選手権は、昨季まで帝京大が9連覇中。栄養計算された食事をとり、練習、筋力トレーニングでフィジカルを強化する帝京大は、大きく、強く、動けるFWと、パワフルで速いBKに育て上げる。近年、好成績を残している東海大も、食事を含めたトレーニングが充実。そんなライバルたちを早大の選手たちも意識しており、「体作り、スキルともに帝京や東海に追いついてきた」と小柴大和主務(4年)は胸を張った。
2年生から寮に入ったFL佐藤真吾主将(4年)は、この生活を続けて3年目。180センチで入部当時78キロだった体重を一時期98キロまで増やし、現在は93キロまで絞った。体脂肪率は5%ほど下がっており、ほぼ筋肉で増量したと言える。「コンタクトプレーの多いポジションですが、より激しく戦える体になった。俊敏性が高まり、疲れなくなった」と体の変化を実感している。自身の体調を見ながら食事を管理できるようになったともいい、自宅に戻ったときは「少し油っぽいんじゃない?」などと、母親に調理やメニューをアドバイスするまでになった。
島さんが「食べ方が豪快できれい」と絶賛するFL柴田徹選手(3年)は、78キロから88キロに増量(173センチ)し、体脂肪は2%ダウン。「体が締まり、プレーにも好影響が出てきた。ケガが減ったし、スピードに切れも出てきた」と先発出場する機会も増えてきた。
また、今季から練習後、寮生以外も炊いたご飯を食べてから帰宅するようになった。選手が自発的に始めたもので、素早いリカバリーが目的。チーム全体の意識向上の証しだと言える。
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