<阪神0-1DeNA>◇8日◇甲子園

阪神に勝利しナインを出迎える井納(撮影・加藤哉)
阪神に勝利しナインを出迎える井納(撮影・加藤哉)

 今季初先発のDeNA井納翔一投手(32)は間合いの取り合いを制した瞬間、思わず叫んだ。3回2死。初球を投げる前から阪神福留は打席を離れ、間合いを取りにきた。だが、揺さぶりにも動揺はない。フルカウントから外いっぱいの直球で見逃し三振。強打者を封じ、感情が爆発した。

 5月22日、2軍落ちを言い渡された夜から切り替えた。「この悔しさを忘れません」。過去3度、規定投球回数に到達した先発投手。開幕直前に7回の男として中継ぎに配置転換され、徐々に投球内容も成績も落ち、屈辱のファーム行きとなった。中継ぎの大変さ、回またぎの難しさを思い知った。「中継ぎがダメで投げる場所がなくなったというのが、僕の理解」。投げるためには場所を勝ち取るしか道はなかった。

遠征中も周辺の店で購入

 体の内側から見つめ直した。夫人のすすめで「コールドプレスジュース」を取り入れた。野菜や果物が持つ栄養素を失うことなく搾り出す「低温低圧圧縮方式」という製法でつくられ、デトックス効果があるとされる。ほぼ毎食1本摂取。2日間しか保存がきかないため、今回の遠征中も宿舎周辺の店を事前に調べて購入し飲んでいた。中継ぎ転向後、自己最多の99・9キロまで増えた体重はジュースの効果もあって約5キロ減量。ベスト体重に絞り込んだ。

 6回途中、3安打無失点で遠かった先発での勝利。久々のナイターに「ファームのときは寝る時間なので(ベンチで)眠くなりました」と笑わせたが、本音は違う。「うまく表現できないけど新たに開幕したのかなと思います」。先発マウンドに、生まれ変わって帰ってきた。【栗田成芳】

(2018年7月9日付日刊スポーツ紙面掲載)