<高校野球西兵庫大会:小野4-2社>◇23日◇準々決勝◇ほっともっとフィールド神戸
最後の打者を空振り三振にしとめると、小野(西兵庫)のエース正中敦士投手(3年)は喜びを爆発させた。小野が社との接戦を制し、創部初の4強進出を決めた。正中は7安打2失点の投球をみせ、初戦から5試合連続の完投勝利でチーム初の快挙に貢献。右腕は「同じ地区では社が一番強いので、そこを倒せたのは自信になりますし、2点差でも勝ち切れたことは僕らが成長できたところだと思います」と汗をぬぐった。
スタミナの源は家族の支えにある。入学時から毎日、母さおりさんが大きな弁当を作ってくれている。茶わん4つ分のご飯が敷き詰められた愛情弁当。「残したら明日のご飯がなくなります。自分で弁当を作ることになってしまうので、頑張って食べました」と笑う。入学当時60キロだった体重が今では70キロに増量。弁当のほか授業の合間におにぎりを4個、試合の時は6個食べるなど努力を続けた。
小野は県内屈指の進学校。正中も国公立の大学を目指し、勉学にも力を注ぐ。学校の決まりで午後6時半には完全下校。練習時間も短い時は2時間と限られてしまう。練習後は月曜から土曜まで通っている塾の自習室で約2時間勉強。野球と勉強の両立を継続してきたからこそ、今がある。
北垣賢高監督(42)は快投を続ける正中について「どんな試合でも最後まで投げきるっていうのがエースやからと言い続けてきました。ピンチの時こそしっかり力を出してくれる」と絶賛。準決勝の相手は優勝候補筆頭の明石商。甲子園出場へ向け強豪に真っ向から立ち向かう。【古財稜明】
◆正中敦士(しょうなか・あつし) 2000年(平12)8月17日生まれ。兵庫・加西市出身。小学2年の冬から北条野球スポーツ少年団で野球を始め、主に内野手をつとめた。北条中では軟式野球部に所属し、2年時から本格的に投手に転向。171センチ、70キロ。右投げ右打ち。
(2018年7月24日付日刊スポーツ大阪版紙面掲載)