<高校野球南福岡大会:沖学園1-0九産大九州>◇24日◇決勝◇北九州市民球場

 過去3度、決勝で涙を飲んできた沖学園が、ノーシードながら南福岡大会を制し、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。

沖学園対九産大九州 優勝した沖学園ナインは歓喜の表情でガッツポーズ(撮影・梅根麻紀)
沖学園対九産大九州 優勝した沖学園ナインは歓喜の表情でガッツポーズ(撮影・梅根麻紀)

 先発した背番号10の斉藤礼(らい)投手(3年)が、2安打完封に抑える完璧なピッチング。鬼塚佳幸監督(36)は「本来は打撃のチームなのですが、今日は斉藤を中心に守り勝つ野球ができました」と目を細めた。

沖学園対九産大九州 完封勝利を挙げ、初の甲子園出場を決めた沖学園・斉藤(撮影・梅根麻紀)
沖学園対九産大九州 完封勝利を挙げ、初の甲子園出場を決めた沖学園・斉藤(撮影・梅根麻紀)

 昨秋の新チーム結成時に部長から監督に就任した鬼塚監督は「100回記念大会で優勝する」と目標を掲げた。部長時代からモチべーションアップのために甲子園見学や、動体視力を鍛えるための速読トレーニングなど、数々のチーム改革を行ってきた鬼塚監督は、この5月からパワーアップを目指し、食事トレーニングを取り入れた。

 練習前に選手全員がどんぶり1杯(約500グラム)のご飯を食べ、エネルギーを補給するというものだったが、習慣化することで食に対しても、勝利に向けても、選手の意識が高まったという。

決勝戦での登板はなかったが、背番号1を背負う石橋幹(3年)も補食のお陰で球速が146キロまで伸びた
決勝戦での登板はなかったが、背番号1を背負う石橋幹(3年)も補食のお陰で球速が146キロまで伸びた

 大会打率5割を超えた5番吉田圭吾(3年)は「毎日、ご飯に生卵や納豆をかけて食べていました。全員が体重アップしてパワーが付きました。1番効果があったと感じるのは、夏バテをしなかったこと。今大会はとても暑かったけど、足がつったり、熱中症になった選手が1人もいなかったんです」と補食の効果を話した。試合後、体重が1~2キロ落ちてしまったときは、母特製の「タマネギ抜きかつ丼」を食べてリカバリーし、体重を戻すことに努めたという。

毎日のご飯の補食でパワーがつき、今大会5割以上の打率を残した5番の吉田
毎日のご飯の補食でパワーがつき、今大会5割以上の打率を残した5番の吉田

 「攻撃型2番打者」として先制打を放った市川颯斗(3年)は「補食で2キロ体重が増えて、入学時から合計10キロ増の70キロになりました」と話す。大会中は好物の焼肉でスタミナ補給をしていたそうだ。

沖学園対九産大九州 甲子園出場を決め、喜ぶ沖学園ナイン(撮影・梅根麻紀)
沖学園対九産大九州 甲子園出場を決め、喜ぶ沖学園ナイン(撮影・梅根麻紀)

 福岡県勢としては、北福岡大会を制した折尾愛真(おりおあいしん)とともに、春夏初出場校としてメモリアル大会に出場する。「悲願達成のために色々なことにチャレンジしてきました。応援されるチームを目指して甲子園でも校歌を歌いたいです」。就任1年目で夢をかなえた鬼塚監督は次の大舞台に向けて、万全の準備を整える。【樫本ゆき】