<全国高校野球選手権:浦和学院6-0二松学舎大付>◇16日◇3回戦

 32年ぶりのベスト8入りを果たした浦和学院(南埼玉)は18日、準々決勝で優勝候補の大阪桐蔭(北大阪)と対戦する。3回戦では先発の渡辺勇太朗投手(3年)が被安打5、10奪三振、球数105で完封勝利。打撃陣は3回に1番中前祐也(2年)が先制中前三塁打を打って主導権を握り、10安打6得点と奮起した。2試合連続2ケタ安打と打撃が好調なだけに好試合が期待される。

 浦和学院は2013年春の全国制覇を含む、春10回、夏13回の甲子園出場を誇る。今大会で見せている持久力のある試合運びは、寮生活の中で作り上げた強い身体と、トレーニングによるパワーが土台になっている。

練習中に補食をとる(左から)3年生の西田拓真、大澤龍生、小町竜梧、田上康陽の各選手
練習中に補食をとる(左から)3年生の西田拓真、大澤龍生、小町竜梧、田上康陽の各選手

 同校の食トレは2017年7月に掲載した「1日2キロの米で『氣』を出す浦和学院、圧倒的食事量で夏制覇だ」の記事でも紹介したが、100人の部員全員が「勝つために食べる」をテーマにし、朝600グラム以上、昼500グラム以上、夜800グラム以上、計1日2キロ以上の米を食べている。寮生活をしている選手だけでなく、通いの選手も野球部の食堂で3食を摂っていることが特徴的だ。

 野球部OBで調理師の田村雅樹さん(41)が元選手の立場から、「野球部に合った」メニューを考案。チームでは、定期的にプロの専門家による栄養指導を受け、InBody(高精度大成分分析装置)を使って「体重×(100-体脂肪率)」で出す「除脂肪体重」を計測している。

初戦を突破し、笑顔で話す浦和学院・蛭間拓哉主将(左)と森士監督
初戦を突破し、笑顔で話す浦和学院・蛭間拓哉主将(左)と森士監督

 3回戦で好投した渡辺投手は現在、身長190センチ、体重90キロあり、「身長-100」をクリアしている。メンバー入り18人全員がこの数値をクリアさせて甲子園に臨んだ。「肥満」ではない「筋肉質」の身体づくりが、試合中にバテないスタミナへとつながった。

 1年生から主砲を担い、2回戦の仙台育英(宮城)戦で自身通算28号となる左越え本塁打を放った蛭間拓哉主将(3年)も、効率よく体重増加を成功させた1人だ。身長174センチで、入学時74キロだった体重は82キロに増え、スイングスピードが倍増した。

初戦の仙台育英戦8回表無死、左中間に本塁打を放ちベースランする蛭間拓哉(撮影・上山淳一)
初戦の仙台育英戦8回表無死、左中間に本塁打を放ちベースランする蛭間拓哉(撮影・上山淳一)

 母美恵子さん(50)は「太りやすい体質で、脂肪が心配だったのですが、寮に入ってバランスよく食べていることで筋肉質の体になったように思います」と成長を頼もしく見守る。

 蛭間選手は群馬・相生中出身で、パワーフードは上州名物の「ソースカツ丼」。5月の帰省のときには地元で有名な「冨士山食堂」に行き、大盛りを平らげた。ここまで全2試合ヒットを放っている息子の活躍に、美恵子さんは安堵の笑みを浮かべながら、アルプス席から「チームの仲間を信じて精いっぱい戦って欲しい」とエールを送った。心と体力のスタミナを自信に、2度目の甲子園春夏連覇を狙う強豪に総力戦で挑む。【樫本ゆき】