おにぎり専門店として初めて「ミシュランガイド」に掲載された「おにぎり浅草宿六」(東京都台東区)が、てんやわんやの騒動になっている。「食べログ」などでは「予約可 営業時間11:30~17:00 18:00~翌2:00」と紹介されているが、開店前に30~40メートルの行列ができるようになったため、浅草署の指導で名前を記入して指定時間に来店してもらう方式に変更。行列はなくなったが、午前11時半すぎに当日分が売り切れる日が続いている。

ミシュランにおにぎり店として初めて掲載された「浅草宿六」のおにぎり。ランチはみそ汁がついて690円
ミシュランにおにぎり店として初めて掲載された「浅草宿六」のおにぎり。ランチはみそ汁がついて690円

「浅草宿六」は1954年(昭29)創業で、東京で一番古いおにぎり専門店。3代目の三浦洋介さん(39)は「お客さんが4、5倍になっていて、断る数がハンパないです」という。昼は三浦さん、夜は三浦さんの母(68)が店番しているが、1人で握っているため、作る数にも限りがある。「大体1個1分くらいかかるので、そんなに簡単に増やせないんですよ」。

「浅草宿六」3代目の三浦洋介さん。カウンターはすし店のようだ
「浅草宿六」3代目の三浦洋介さん。カウンターはすし店のようだ

「ミシュランガイド」以前に、世界最大の旅行ガイド「ロンリープラネット」で紹介されたため、訪日外国人が多く、多い日で5割、少ない日でも2割を占めていたが、行列ができるようになって並ぶことを嫌がる外国人が敬遠。「1割以下になった」ともいう。午後2時からの取材中も来店客が相次ぎ「すみません。終わっちゃいました」。電話にも「大混乱中でして、予約を受け付けてないんです。はい、すみません」。「すみません」の連発だった。

「浅草宿六」が掲載されたのは「5000円以下で価格以上の満足感が得られる料理」を対象にしたビブグルマン部門。「浅草宿六」のランチは690円だ。コンビニのおにぎりにはない「福神漬」「紅しょうが」「奈良漬」などの具もある。創業以来64年、変わらない具材だ。【中嶋文明】

(2018年12月17日付日刊スポーツ紙面掲載)