<柔道:第41回全国高校選手権>◇最終日◇21日◇男女団体◇東京・日本武道館◇日刊スポーツ新聞社後援

男子は東京・国士舘が決勝で福岡・大牟田を下し、2年連続10度目の優勝を果たした。5人制の勝ち抜き戦で、五輪2連覇の故斉藤仁氏の次男、立(たつる、2年)が「大将対決」を制して優勝を決めた。

男子団体決勝で大牟田の石本(右)を一本勝ちで破って優勝を決めた国士舘の斉藤(撮影・丹羽敏通)
男子団体決勝で大牟田の石本(右)を一本勝ちで破って優勝を決めた国士舘の斉藤(撮影・丹羽敏通)

身長190センチ、体重160キロの大器が躍動した。1-1で迎えた大将対決。斉藤は今月上旬に負傷した左手首にテーピングを巻いて、痛みも気にせず果敢に攻め続けた。大牟田の石本慎太郎(1年)に対して、組み手で圧をかけ、徐々に斉藤ペースに持ち込んだ。試合開始2分25秒、鋭い内股で石本を押しつぶして圧巻の一本勝ち。「アドレナリン全開で絶対に勝つという気持ちしかなかった。畳に上がれば痛みも関係ないし、これ以上ない最高の状態で臨めた」と、興奮気味に振り返った。

自身の一本勝ちで団体戦の優勝が決まり感極まる国士舘の斉藤(撮影・丹羽敏通)
自身の一本勝ちで団体戦の優勝が決まり感極まる国士舘の斉藤(撮影・丹羽敏通)

10日の全日本選手権(4月29日、日本武道館)東京都予選では、最年少で本戦の出場権を得ると、手首の悪化を懸念して準々決勝を棄権した。その後の稽古は乱取りすら出来ない状態で、今大会の出場も迷ったが目標の「団体3冠」を達成するために強行出場した。仲間には「(大将の)斉藤まで回さない」と言われ、自身の気持ちも奮い立った。

笑顔で囲み取材を受ける国士舘の斉藤(撮影・丹羽敏通)
笑顔で囲み取材を受ける国士舘の斉藤(撮影・丹羽敏通)

昨秋から取り組んでいる「食事改革」も心身の成長につながった。成長期で食欲旺盛のため「食べ過ぎ」を課題とし、体重管理を意識するようになった。夕飯の食事量を減らしたり、間食をしないように心掛けた。ただ、試合前日だけは「しっかり食べる」と決め、20日夜は弁当店「ほっともっと」で弁当3つを購入。胃もたれするため揚げ物は控えていたが、なぜか、ロースカツ丼大盛りとダブル焼き肉弁当大盛り、肉野菜炒め弁当大盛りを食した。試合後、記者から「ロースカツ丼は揚げ物では?」と問われると、「あ!? そうか、揚げ物だ…。やらかした」と頭を抱えた。

1カ月後には初の全日本選手権が迫る。出場するからには「優勝」を目指し、「上位に入れば東京五輪代表の可能性もあると思う。まだ諦めていないし、悔いなく戦いたい。最年少で怖いものもない。挑戦者の気持ちで全身全霊で挑むだけ」と決意を示した。

また、女子は3人制の点取り戦で、山梨・富士学苑が埼玉栄に2-0で勝利し、初優勝を飾った。

(2019年3月21日、ニッカンスポーツ・コム掲載)