<ナチュラル・プロダクツ・エキスポ・ウエスト2019(8)>

米アナハイムで5日から4日間、開催された「ナチュラル・プロダクツ・エキスポ・ウエスト」でも、世界的に問題となっているプラスチックごみによる海洋汚染について提言、啓蒙するコーナーが設けられていました。

プラスチックを使用していない環境に配慮したフード容器や皿、カップなども多く展示されていました
プラスチックを使用していない環境に配慮したフード容器や皿、カップなども多く展示されていました

軽くて硬く、腐らず便利なプラスチックですが、海には毎年800万トンにも及ぶプラスチックごみが流れ込んでいると言われています。目に見える漂流物のみならず、紫外線や波で劣化し、岩に打ち砕かれて細かくなったマイクロプラスチックが海洋を汚染し続け、生態系に影響を及ぼすと心配されています。

昨年6月、カナダで行われたG7サミットでは、使い捨てプラスチック製品の削減などを盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」に各国が署名する中、アメリカと日本はこれを辞退。しかし、アメリカでも脱プラスチックの動きは少なからず進んでいます。

再生可能な植物由来の素材を使ったコップやストロー
再生可能な植物由来の素材を使ったコップやストロー

カリフォルニア州では昨年9月、プラスチック製ストローの提供を禁じる法案が可決され、今年1月1日からは、州としては全米で初めて、客の要望がない限り使い捨てのプラスチックストローを提供することを禁じました。ワシントン州シアトルでは、すでに昨年7月からレストランやカフェで使い捨てプラスチックストローと、ナイフ、フォーク、スプーンのカトラリーの提供を禁止。西海岸を中心にストロー撲滅キャンペーンが広がっています。

そうした流れを受けて、今エキスポで注目されていたのが、天然素材を使ったストローやカトラリー、コップなどの使い捨て食器や、プラスチックを再利用した使い捨てでない容器です。

農作物非食部やバイオプラスチックを利用

エコ製品会社のワールド・セントリック社は、麦わらやもみ殻などの農作物非食部や再生可能な資源、また、でんぷん由来のバイオプラスチックで作られた使い捨ての皿やコップ、カトラリーなどを紹介。

ワールド・セントリック社は環境問題への取り組みで高い評価を受けています
ワールド・セントリック社は環境問題への取り組みで高い評価を受けています

プリサーブ社は、100%リサイクルのプラスチック製品を作っています。スーパーなどに設置された回収ボックスに集められたものを再利用し、使い捨てでない食品保存容器を製品化。ヨーグルトのプラスチックカップや、ペットボトルのふたをリサイクルしたカミソリや歯ブラシ、土に戻すことのできる食物由来のストローなどもありました。同社の製品はプラスチックに含まれ、人体や動物の健康に様々な影響を及ぼすとされる化学物質BPA(ブスフェノールA)を含まない製品の認定も受けています。

カラフルな色とサイズ展開が魅力のプリザーブ社の食品保存容器
カラフルな色とサイズ展開が魅力のプリザーブ社の食品保存容器

商品パッケージも環境に配慮

オーガニックや遺伝子組み換えでない食品を販売する企業が、環境に配慮した商品パッケージを使うのもトレンドになりつつあります。オーガニック茶を販売するヌミ・オーガニックティは、使用済みのリサイクル素材をパッケージに使用し、印字用インクは大豆からとれた天然成分、ティーバッグも堆肥化できるフィルターペーパーを使う徹底ぶり。また、このような企業に関連し、エコ包装を提供する会社も多く展示会に参加していました。バイオパック社は、100%堆肥化できる商品包装を紹介し、企業が排出する二酸化温室ガスを減らそうと呼び掛けていました。

商品パッケージにも脱プラスチックの流れが
商品パッケージにも脱プラスチックの流れが

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】