<米ファストフード界の朝食(下)>
大手ファストフードチェーン店による「朝ご飯バトル」が過熱するアメリカでは、各社とも新メニューやシステムを投入して顧客拡大を狙っていますが、実際、どのようなメニューを取り揃えているのでしょうか。のぞいてみると、想像以上にヘルシーで栄養価の高いものが揃っていました。
●マクドナルド
朝食の売り上げで他社に負けていたマクドナルドは昨年11月、約15年ぶりとなる新商品として、通常の約3倍の量の肉を使ったサンドイッチ「トリプルブレックファースト」シリーズを販売。さらに、主力商品であるソーセージマフィンを1ドル(約112円)で提供し、コーヒーの質を上げてサイズに関係なく1ドルにするサービスも開始した。2月にはライバルのダンキンドーナツに対抗すべく、スティックドーナツの販売も始めた。
●バーガーキング
クロワッサンにハムとチーズ、ソーセージと卵などを挟んだサンドイッチ、パンケーキなど定番メニューに加え、ブリトー(トルティーヤの皮にスクランブルエッグとチーズ、ハッシュブラウンを包んだもの)など低カロリーの商品まで、多様なメニューを展開。たくさん食べたい人向けには、ソーセージ、ビスケット、卵、パンケーキ、ハッシュブラウンのワンプレート商品も開発した。コーヒーにも力を入れており、4種類のアイスコーヒーのほか、月額5ドルで毎日コーヒーが飲めるサービスも開始。
●タコベル
2015年に日本に再上陸したメキシカンファストフードのタコベル。14年からブリトーやタコスなど主力商品を朝食向けに開発、販売している。トルティーヤの皮に、刻んだソーセージ、卵、チーズを巻き、オプションでアボカドソースをトッピングできるブリトーや、ベーコン、卵、チーズを挟んだタコスは全て1ドル。シナモンシュガーをふりかけたミニサイズのドーナツもあり、低価格とバラエティー豊かな商品、目新しさで売り上げを伸ばしている。
●スターバックス
マフィンやペイストリー以外にもソーセージやベーコン、卵を使ったホットサンドイッチ、ヨーグルトやフルーツボウルなどのヘルシーメニューやビーガン(完全菜食主義者)向けの商品も充実。「All Day Breakfast(1日中朝食が食べられる)」をキャッチフレーズに、コーヒーと一緒に食事も買ってもらう作戦を展開中。
●パネラ・ブレッド
新たに3種類のラップが発売された。ベーコン、卵、ゴーダチーズを使ったもの、メキシコ料理のチポトレチキン、卵、アボカド、ペッパーを使ったもの、よりヘルシー嗜好の人向けに卵の白身、トマト、ホウレンソウを使ったベジタリアン向け。
●ダンキン(ダンキンドーナツ)
ドーナツ以外に朝食向け各種サンドイッチも展開しているが、中でもイングリッシュマフィンに野菜と卵の白身を挟んだベジタリアン向けサンドイッチ、ターキーソーセージのサンドイッチなど低カロリーのメニューが充実。オートミールやハッシュブラウンなどもバラエティーに富んだメニューを展開している。
どの店も、低価格で利便性が高く、栄養面も気にかけたメニューを続々と開発していることが分かるでしょう。セットメニューにすることで量を調整できるので、低価格の商品を2種類以上組み合わせる人も多いようです。ターゲットとなる10代後半から30代のミレニアル世代の心をつかむための「朝ご飯バトル」は今後も続きそうです。
【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】