<阪神7-5DeNA>◇5日◇甲子園
セ・リーグ5万号はオレだ! 阪神福留孝介外野手(42)が、リーグ最年長サヨナラ2ランで、節目の数字を飾った。DeNA戦の9回2死一塁。5月5日、スコア5-5、5番打者の第5打席で、リーグ通算5万号という「5」ずくめ。チームを同一カード3連勝に導き、今季最多タイの貯金2とした。頼れるベテランがまた新たに、球史に名を刻んだ。
華麗に決めた。狙いを研ぎ澄ました福留が、DeNA三嶋の2ボールからの変化球をとらえ、バットを放り投げた。感触あり。右手を突き上げて走りだす。劇的なサヨナラ弾に「最高に気持ちいいです! (感触は)バッチリでしたけど、この球場で、この風なのでね」と喜んだ。
延長もちらついた9回2死一塁、右翼の黄色いメガホン畑へ運び去った。両手を広げて両足着地でホームインすると、ナインからのウオーターシャワーを浴びた。4年ぶり5本目のサヨナラ弾は、記憶にも球界の記録にも残るセ・リーグ通算5万号だが、本人は「そうなの? たまたまですけど、よかったですね」と甲子園の歓喜と正反対にサラリ。42歳でのサヨナラ弾は09年に金本知憲が記録した41歳1カ月を塗り替え、リーグ最年長記録となった。
プロの世界で生き抜くすべを熟知している。ある日、ルーキー近本から悩み相談を受けた。「夏場にどうしても体重が落ちてしまうんです…」。近本はもともと太らない体質。暑さが増し、食欲が減退する夏に向けて、福留は「ビールを少しでも飲んでから食事をすれば、食事量も減らない」とアドバイスを送った。
厳しい世界で16年目を迎えた福留は、夏場の体重減は1度もない。ゲームを終えた自宅の食卓には和枝夫人お手製の料理が6品から7品は必ず並ぶ。特に低カロリー高タンパクでさまざまな栄養素を含む魚の刺し身は必ずテーブルに置かれる。デーゲームが多い黄金週間の連戦中は午前6時半には起床し、同7時台には甲子園に出勤。入念な準備を重ねる。戦い方を知る男がこの日も結果を残した。
矢野監督も興奮を隠せず、本塁付近までお出迎えした。「あっぱれですよね。ホント、孝介ね。年齢もいい年になってますけど、若々しい打撃で。本当に打ってくれて…。むちゃくちゃ感激です」と感謝しきりだった。2日連続のお立ち台で福留が叫んだ。「いい流れで来てるので、また明日も勝てるように、しっかりと頑張っていきたいと思います!」。困ったときに頼れる男こそ、みんなのヒーローだ。【真柴健】
(2019年5月6日、ニッカンスポーツ・コム掲載)